「働く人のメンタルヘルスとサービス・ギャップの実態調査」コロナ禍で40-50代の「社会的成功者」にメンタル不調者が増加
過去の調査では、失業者や配偶者がいない中年男性の自殺率の高さ(注3,4)、また、コロナのまん延以降は若者の自殺数の増加が指摘されている(注5)が、本調査を通して、過去の調査とは異なる層においてもコロナまん延以降のメンタル不調のリスクが見受けられ、ケアが必要であることが示唆される。
さらに、コロナまん延以降にストレスなどが増加したメンタル不調者におけるサービス・ギャップの実態を明らかにした調査は、本調査が初めてである。結果として、ストレス増加群の相談窓口の利用率は3割程度と低く、背景には主に三つの課題があると考えられる。一つ目は、社内の相談窓口の場合、面談した内容が周囲に漏れてしまうのではないかという不安、二つ目は、社内外関係なく相談窓口に携わる専門家や面談での実施内容が分からないという不安、三つ目は、社外の相談窓口への認知率は3-4割程度であるように認知の低さである。サービス・ギャップを解決する一つの手がかりとして、近年、行動経済学で注目されている「ナッジ(注6)」の活用が考えられる。明らかとなった三つの課題においては、背景の一つに認知バイアスが想定される。各認知バイアスをふまえて「ナッジ」