座っている時間を1時間減らして身体活動に充てると脂肪肝である可能性が2割減と試算
結果(2)
■まとめと展望
本研究は、客観的に評価された身体活動量と非アルコール性脂肪肝との関連性について量反応関係や行動の相互依存性を考慮した世界初の研究です。そして、中高強度活動が多い人ほど、非アルコール性脂肪肝である可能性が低く、この抑制的関連性は、約1800メッツ・分/週(約1日1時間の活動時間に相当)まで特に強いことがわかりました。この結果より、中高強度活動による非アルコール性脂肪肝の予防効果は、毎日1時間まで特に大きく、普段から不活動な方ほど、できる限り活動量を増やすことが重要であることが示唆されました。
また、座位行動時間を減らし、中高強度活動時間を増やすという行動変容(時間の置き換え)を考慮した分析(組成データ解析)により、1日30分の置き換えで、非アルコール性脂肪肝である可能性が13%減少し、もっと頑張って1時間を置き換えた場合は22%減少すると試算されました。スポーツに苦手意識がある人や時間がない場合でも、階段を使う、一駅分歩いて通勤する等、日常の行動のなかから、中高強度活動時間を増やすことはできます。脂肪肝は重度肝疾患への入り口です。適切な食生活と共に、普段から意識的に体を動かし、予防に努めることが重要です。