自発的な身体活動により、骨格筋が肥大することを確認 ―豊かな環境が動物モデルに与える影響を検証―
身体活動量を増やすと、生体内では血流の増加、神経活動の活性化等、様々な応答が生じます。特に、これまでの疫学研究から、身体活動量の維持・増加は、筋量低下の抑制と関連することがわかってきましたが、そのメカニズムには不明な点が多く残されています。本研究では、その要因を明らかにするために、自発的な身体活動を促す「豊かな環境」を作り出し、長期間動物を飼育した場合に骨格筋の量や種類にどのような効果を及ぼすのかを検討しました。なおこの研究は公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所 倫理審査委員会の承認を得て実施されました。
【対象と方法】
自由にアクセスすることが可能な「走る装置」やトンネル、滑り台等を設置した環境(豊かな環境)と、何も道具がない環境を用意し、各環境内にて動物(成長期の雄ラット)を4週間(720時間)飼育しました。全ての飼育期間を通じ、小型化された加速度計を用いて身体活動量を計測しました。また各環境における飼育期間が終了した後、動物の後肢にある複数の骨格筋の重量を測り、各環境による差異があるか、比較検討しました。さらに後肢骨格筋を顕微鏡にて観察・撮影し、骨格筋の細胞レベルのサイズ(筋組織横断面積)