自発的な身体活動により、骨格筋が肥大することを確認 ―豊かな環境が動物モデルに与える影響を検証―
最近、世界的なトップジャーナル「Nature」が、脳と行動の関係を調べる上で「自然な活動」を考慮することが、実社会にあった治療法の開発につながることを期待しているというメッセージを発表しました。本研究のように、自らの意思による身体活動を促す環境モデルによって、骨格筋量の低下を予防できる可能性が示唆されたことは、「身体活動量の増加=健康」という漠然とした概念ではなく、「骨格筋を維持するために身体活動量を増加させることが必要である」という具体的なビジョンに基づく健康増進への取り組みができることを意味します。人生100年時代を楽しく過ごすためにも、身体活動による健康効果のメカニズム解明を目的とする、基礎的な研究結果を基にした健康増進策が確立する社会になることを願っています。
【発表論文】
掲載誌 : Frontiers in Physiology
タイトル: The effects of environmental enrichment
on voluntary physical activity and muscle mass gain in growing rats
著者 : Mizuki Sudo, Yutaka Kano, Soichi Ando
DOI :
https://doi.org/10.3389/fphys.2023.1265871
【用語解説】
1. 豊かな環境:滑り台、小屋、トンネルなどの道具や走るための輪回しを設置した環境において複数の動物が飼育できる環境モデル。