-地方と都市部の抗菌薬の処方に関する調査- 地方と都市部での知識の差は少ない、しかし行動には違いが!
<総括>
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院
AMR臨床リファレンスセンター 情報・教育支援室長
藤友 結実子
図11
今回の調査では、100km2あたりの医療機関数が20.0未満の地域を地方、1000.0以上の地域を都市部と定義し、医療機関へのアクセスによる違いで、抗菌薬の知識や受療行動に違いがあるかを調査しました。その結果、「抗菌薬はかぜには効かない」などの抗菌薬に関する基本的な知識にはほぼ差がなかったものの、かぜで病院を受診した際に抗菌薬を処方してほしいと医師に依頼したことがある人、家に抗菌薬を取り置きしている人の割合は都市部の方が多い、という結果でした。また、病院や薬局での医師や薬剤師との関わり方が、地方と都市部で違うことが示唆されました。薬についての情報収集方法も、都市部ではインターネット検索やSNSを使うことが地方に比べると多いという違いがありました。
今回の結果からは、正しい知識を得るためには、医療機関へのアクセスのよさはあまり関係なく、情報収集の仕方がキーになる可能性が示唆されたのではないかと思います。また受療行動と現場でのコミュニケーションは、地方と都市部での医師-患者間の関係性の違いなども背景にあると思われます。