在宅勤務で歩数が4,000歩減少、座位時間が70分増加
最後に、こうした在宅勤務に関連した活動量の低下が顕著な集団がいることが明らかになりました。
具体的には、40歳以上、女性、教育歴が高校卒以下、運動や食習慣の改善に対して無関心な勤労者において、在宅勤務に関連した活動量の低下が著しいことがわかりました(図2)。
図1. 在宅勤務の頻度と1日の座位行動時間・歩数の関連性
※座位行動時間や歩数は、年齢、性、教育年数、暮らし向き、子どもの数、職種、雇用形態、1週間の労働時間、BMI、主観的健康感、心理的ストレス、行動変容ステージ、活動量計の装着時間を調整した値
図2. 属性別にみた在宅勤務に関連した身体活動時間の低下
<まとめ>
本研究から、感染症対策が緩和された現在においても在宅勤務を行うことで、活動量が大幅に低下する可能性があることがわかりました。また、こうした活動量の低下が著しい集団(例:女性や生活習慣の改善に無関心な勤労者)がいることも確認しました。
これまでの研究から、座りすぎや不活動状態が心身の健康に悪影響を及ぼすことがわかっており、在宅勤務の長期化により、新たな健康リスクが高まることが懸念されます。本研究の成果は、活動量が低下しやすい勤労者の健康を守り長期的な在宅勤務を支援するためにも、身体活動の促進を目的とした対応策の開発と実装が必要であることを強調しています。