カンガルーケアが親子の絆を深め死亡率を下げる!?デメリットもあるの?
近年、日本でも広まりを見せている「カンガルーケア」ですが、赤ちゃんの健康にトラブルが出る例も多く、賛否両論の声が上がっています。今回は、カンガルーケアとはどんなものなのか、安全にカンガルーケアをするためのポイントについて紹介します。
カンガルーケアとは
カンガルーケアは、母親と赤ちゃんが直接肌と肌の触れ合いをおこなうことで、親子の絆を深めるケアです。カンガルーケアは、1970年代に南米コロンビアの首都であるボゴタの病院で、スタッフや保育器の不足から起こる感染症の対策として取り入れられたのが始まりです。
その後、カンガルーケアは赤ちゃんの死亡率を下げることが明らかになり、世界に広がります。1990年代には世界保健機関(WHO)により、正常出産のガイドラインとして推奨されるようになりました。
日本では、赤ちゃんの命を助ける目的ではなく、NICU(新生児集中治療室)にいる赤ちゃんとの母子関係を改善することを目的に、カンガルーケアが取り入れられるようになりました。
現在では、集中治療をおこなっている赤ちゃんだけでなく、正期産である妊娠37週以上で生まれた赤ちゃんのケアとして取り入れられています。
※注:カンガルーケアはNICUにいる低出生体重児へのスキンシップを指すのもので、正期産で生まれたばかりの赤ちゃんとおこなうママとのスキンシップは、正しくは「早期母子接触」と言います。しかし、記事内ではその認知の広さから、すべてカンガルーケアで統一しています。
カンガルーケアの効果は?(メリット)
親子のきずなを深めるとされるカンガルーケアには、対象の母子ごとによっても次のような効果や傾向があることがわかっています。
正期産で生まれた赤ちゃん
・母親の初めての授乳が成功しやすく、その後の赤ちゃんに母乳を与える期間が長くなる。乳房のトラブルが減少しやすい
・赤ちゃんの体温が保持され、呼吸や循環が安定しやすくなることで、赤ちゃんの泣く回数が減少しやすい
・出産後早期の親子のスキンシップがあることで、母子のきずなが深まりやすい
低体重で生まれた赤ちゃん
・母親が赤ちゃんとのつながりに満足を感じやすく、退院後の母乳育児の確率が高まる
・赤ちゃんが感染症にかかるリスクが減少する
※上記に挙げた例はあくまで統計に基づくものであり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。