妊婦健診で「卵巣が腫れている」と言われて不安…。治療は必要?
出産時には、卵巣嚢腫が骨盤内にはまってしまい、分娩の進行を妨げる(赤ちゃんが産道を通るのを邪魔する)可能性があります。
また、悪性だった場合(卵巣がんだった場合)に治療せず放置していると、出産を終えるころにはがんがかなり進行した状態になる可能性があるため、妊娠経過の早い段階で手術など治療をしたほうが良いです。
卵巣腫瘍が赤ちゃんに与える影響
基本的に、卵巣腫瘍がおなかの中の赤ちゃんに直接の影響を及ぼすことはありません。もし悪性の卵巣腫瘍だとしても、がん細胞が胎盤や赤ちゃんへ転移することはありません。
まとめ
妊娠初期は、卵巣はホルモンの影響によって自然に腫れている状態になりやすいため、妊婦健診で「卵巣が腫れている」と指摘を受けつつも、「次回の健診まで様子を見ましょう」と言われることは比較的多いケースです。 自然に腫れが引かない卵巣腫瘍は、良性でも、悪性でも、母体と赤ちゃんのそれぞれの危険性と利益を考えながら治療を進める必要があります。担当医と十分に話し合いながら、妊娠中から治療を進めましょう。
<参考>
・産婦人科診療ガイドライン産科編2017
・産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2017
・CardonickE, Iacobucci A. Use of chemotherapy during human pregnancy. Lancet Oncol 2004:5:283-291
・BakriYN Ezzat A, Akhtar M, Dohami II,Zahrani A. Malignantgerm cell tumors of the ovary:Pregnaneyconsiderations. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 2000 May;90(1):87-91
監修者:医師 おおたレディースクリニック院長 太田 篤之 先生
順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
著者:助産師 古谷真紀
一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー
大学病院勤務を経て、2015年より現職。