2020年8月23日 12:30
「生かされている」と感じた息子の姿。生まれてすぐに2回の手術を乗り越え
「横隔膜ヘルニア」という先天性疾患を抱えて生まれたお子さんを持つママの体験談をお届けする連載企画です。横隔膜ヘルニアとは、本来胸とおなかの臓器を隔てている横隔膜に生まれつき穴が開いており、その穴からおなかの中の臓器が胸の中に出てきて心臓や肺を圧迫してしまう病気。
おなかの子が横隔膜ヘルニアであると診断された妊娠中から出産までのできごとやママが感じた不安、生まれたお子さんの様子やその後の治療についてご紹介していきます。
横隔膜ヘルニアであることがわかったおなかの子は、肺の発達が不十分で、生まれてすぐに人工呼吸器が必要でした。このため、私も子も眠らせた状態で帝王切開をおこなうことになりました。3人目の子にして初めての帝王切開で、全身麻酔の負担も大きかったうえ、息子の容態急変で休もうに休めません。今回は私が人生で一番つらかった、産後1週間のお話です。
痛みと共に息子のもとへ
帝王切開のあと目を覚ますと、これまでの出産にはなかった激しい痛みと猛烈な寒気が襲ってきました。術後、体温は34℃台まで下がっていたそうで、電気毛布にくるまれていました。
少し目を覚ましては眠るというもうろうとした数時間を過ごし、やっとのことで起き上がれるようになった翌朝、看護師さんがばたばたとやってきました。「息子さんの容態が急変しました。たぶん、このまま手術になります。今からNICUに行きましょう」。
生かされている息子
私が戸惑っていると、看護師さんが数人現れ、あっという間に点滴とベッドごとNICUに連れて行かれました。息子はNICU内の手術室におり、たくさんの管につながれて人工呼吸器の音に合わせて体が膨らんだりすぼんだりを繰り返しています。
生きているというよりは生かされているといった感じで、何かしなければ死んでしまうというのが素人目にもわかりました。泣いてしまうとおしまいな気がして、夫の手をぎゅっと握って我慢し、震える声で「頑張れ」と繰り返していました。
つらかった息子のお見舞い
息子にはその後、横隔膜の穴を閉じる手術と人工肺の装着手術が同時におこなわれました。手術は無事成功しましたが、首に太い管をつけられ、ぴくりとも動かない息子は、やはり「生かされている」という感じのままです。