2023年8月10日 13:20
パパの育児は「できることから始めましょう」それってアリ?行政から配られるチラシにモヤモヤ…
『お父さんも赤ちゃんとスキンシップをしっかりもち、おむつを替えたり、お風呂に入れたり、できることから始めましょう。お母さんがお父さんに赤ちゃんを任せて外出できるようになると、お母さんも助かります。』
この『できることから始める』というスタンスに是非が問われているのです。両親ともにできることから始めていたら、子育てはできません。
しかしこのような一文が当たり前のように書かれていては、子育ての主はママが担うものと、意図ぜずとも刷り込まれていくように思えてなりません。
できないこと・わからないことでも、調べたり人に聞いたりして、できるようにするのが育児なのです。
「子育ての主体はママ」という考えはなぜこんなに根深いのか?
以前に比べてパパの育児参加が増えているといえど、男性の育休取得率のが女性に比べて圧倒的に低いことや、健診や集団予防接種の会場にいる女性の多さを考えると、まだまだ育児は女性の役割と思われていることが考えられます。
なぜここまで「子育ての主体はママ」という考えが根深いのでしょうか。
育児の専門家でありパパの育児参加に詳しい、大阪教育大学教育学部教授、小崎恭弘先生に解説いただきました。
小崎先生
ここには大きな2つの理由が存在しています。
1つ目は、母親しかできない妊娠、出産と、その後続く「子育て」が、一体として捉えられており、母親の方が子育てが上手くいくと考えられているからです。
特に乳児は「授乳」があり、子育ての初期のタイミングで母親が中心となり、子育てがスタートすることも関係します。
そして2つ目は、高度経済成長期にできた「働く男性・育てる女性」という、固定的な性別役割分業意識が社会的に定着し、現在もその影響を受けている部分があるからです。
特に日本は、そのようなジェンダー規範意識が強い国とされています。
このような2つの考えや価値観が相まって、「子育ての主体は母親である」という、文化が作られているのだと感じます。
理解のないパパに「子育ては母親だけのものではない」と伝えるには?
確かに、妊娠・出産は女性しかできないものですが、以降の育児は父親・母親のどちらかしかできないものはありません。
女性しかできないと言われる授乳も、搾乳することで男性でもできるようになるのです。