余命僅かな父のために結婚を急いでくれた夫→「遺産は?」父が他界すると豹変するも予想外の展開に
私は28歳の会社員。イケメンでやさしい彼とゴールイン間近です。実家の父が倒れ、余命いくばくもないとわかると、彼は急いでプロポーズをしてくれました。
父の闘病中、私たちは結婚。その2カ月後、父は他界しました。生前父は、夫にとても感謝していました。娘の私をこれからずっと守ってくれる人がいると思うと、安心できたようです。穏やかな表情で、棋士らしく将棋の駒を握って旅立ちました。
化けの皮がはがれた夫
「今お父さん天国にいったよ」
私は死に目に立ち会えなかった夫に、すぐ連絡しました。しかしそこで私が耳にしたのは、思ってもみない言葉だったのです。
「遺産の手続きした?」
「え……?」
いきなり遺産の話題、それも楽しそうに話しかけてくる夫に、とてつもない違和感を覚えました。間違って別の人に連絡してしまったのかもしれないと思ったほどです。彼に言わせたら綿密に準備していただけらしいですが、私にはだまされたも同じことでした。
じつは夫の両親は大の将棋ファンで、息子である夫も父のことをよく知っていたようなのです。父は棋士でしたが、病弱でよく入退院を繰り返していました。多額の遺産と近い死期、それを知った上で夫は私に近づいてきたのです。
私のことは好きだし、これからもうまくやっていこうよと調子の良いことを言う夫ですが、私の気持ちは冷めてしまい……。とりあえず会って話そうと提案すると、これから旅行に出るので会えないと即答されました。ヨーロッパへ1週間行くのだそうです。遺産を期待して、どこからかお金を借りて……。
夫と入れ違いで私も旅へ
旅を終えて、夫は帰国。多額の遺産が舞い込んだ話をすると、家に飛んで帰ったみたいです。私は引っ越したので、そこにはいませんが……。
焦った彼は「俺の遺産はどうした!?」 と連絡してきました。
遺言書を残した場合など例外はありますが、親の遺産は子どもの配偶者に相続されないことを知らなかったようです。遺産がほしくて私と結婚したのに、そもそも遺産は彼の懐に入らず……。でもこれで、彼と結婚している意味はないとがはっきりしました。
じつは彼の旅行中、私は離婚届に判を押して彼の実家へ送付。そのことを夫に伝えると、自分なしには私が生きていけないと決めつけ、笑って離婚を拒否しました。