クリスタさんは母でもあり、あとには9歳と6歳の2人の子どもが遺されたことも後の報道で知りました。
その頃の私の将来の夢は、学校の先生でした。だから、チャレンジャー号の爆発はもちろんショックでしたが、それ以上に『学校の先生も宇宙に行けるんだ!』という驚きが大きかったですね。今までSFの世界の話だと思っていた宇宙は〝現実〟なんだというのが、自分にとっては大きな気づきでした」
文系か理系か、進路に迷った高校時代
物理の数式のシンプルな美しさに感動
高校は、中学生のとき通っていた塾の先生の勧めで国立の女子校、お茶の水女子大学附属高校へ。自由な校風の中、活発で何事も積極的にがんばる仲間たちとの刺激的な生活は、後の山崎さんの人生を支えるチャレンジ精神を培ってくれた。
「勉強を好きだと思うようになったのは、高校時代ですね。それまでは、学校に行けば何となくやるものかなぁという程度で、あまり意識していなかったんです。もともと宇宙が好きだったので、中学生のときは単純に理系に進みたいなぁとは思っていました。
それが高校に行くと、留学したいなぁとか、海外で働きたいなぁとか、もっといろいろな選択肢が出てきて……。当時の乏しい知識だと、文系のほうが海外で働ける仕事が多いのかなぁと思ったりもして。
文系にしようか、理系にしようか、進路に迷っていましたね。ただ、英語は好きでしたけど、高校には帰国子女のお友達が何人もいたので『彼女たちのほうがすごいなぁ。これはちょっとかなわないかなぁ』というのがあって(笑)。やっぱり私は宇宙のことが好きだし、宇宙を学びながら、どこかで機会があったら留学したいなと思うようになりました」
意外にも、中学生までは理科という科目は「大好き」ではなかったという山崎さん。特に暗記するものが多い生物はどちらかというと苦手。一方、高校の授業では、数学や物理のおもしろさにぐんぐん目覚めていった。
「アインシュタインの解いた数式など、宇宙の摂理がけっこうシンプルな式で表せてしまうことに感動しました。絵画を見たり、音楽を聴いたりして美しいなと感じるのと一緒で。数学や物理の公式というのも、世の中のひとつの表現方法であり、それを極めていくのは本当に美しいなぁと。もちろん高校時代にそこまで極めていたわけでは全然なくて、あくまでも教科書レベルですけど、でもすごいなぁと思いました」
やりたいことを反対されたときこそ
自分の意志を見つめ直す絶好の機会
女子校でも理系と文系はほぼ半々という環境の中、理系を選んだ山崎さんが目指したのは東京大学理科I類。