子育て、私の場合【後編】
宇宙飛行士・山崎直子さん
一人一人、好きな食べ物や個性が異なるように、妊娠や出産の仕方、子育てだってみんなと同じじゃなくてもいい。親子の数だけ子育ての仕方もあっていいはず。子どもと向き合う時間は限られているからこそ、子どもの成長を感じて笑い、ときに悩み、ときに泣き。無我夢中で子を育ててきた。
毎回、子育てを経験したパパとママに話を聞く「子育て、私の場合」。今回話を伺ったのは日本人で2人目の宇宙飛行士として任務を果たした山崎直子さん。2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗するまで訓練に費やした年月はざっと11年。その間、結婚、妊娠、第一子の出産といくつかの節目を迎え、生後まもない赤ちゃんと共にアメリカで生活をし、その後は単身ロシアに渡っての訓練……。
とその都度、優先順位を考え決断をしながら “宇宙” を目指す日々をおくってきた。周囲の人に協力してもらいながら子育てに奮闘し、自身の夢に邁進してきた山崎さんの信条とは。
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宇宙飛行士に正式認定された後、
初めての子どもを妊娠、出産
宇宙飛行士を目指すからといって、結婚や出産をあきらめる気持ちは山崎さんにはなかった。宇宙飛行士候補の選抜の面接でも、将来の家族設計について質問された山崎さんは「将来、子どもは欲しいと思っています。子どもを背負いながら、訓練を続けていきます」と即答。宇宙飛行士になることと、家族を持つことの両方とも、当時から人生において同じくらい大事なことだったのだ。
「アメリカのNASAでは、すでに宇宙飛行士と家庭を両立している女性が何人かいると聞いていたのは大きかったですね。でも、それ以上に、宇宙飛行士の選抜人数はすごく少なくて、人事を尽くしたら天命を待つしかないので、受かるか、受からないかというのは、正直あんまり気にしていなかったんです。
それより、試験でこんなことやるんだ~!と、ひとつひとつが新鮮でおもしろかったです。選抜試験そのものを楽しむようにしていました(笑)」
2002年8月、正式に宇宙飛行士に認定されてから約1年後、長女を出産。働く女性のひとりとして、妊娠・出産のタイミングにはかなり悩んだ。
「極力、周囲に迷惑がかからず、なおかつ自分も両立しやすいタイミングはいつか?このときがいいよ、とは誰も教えてくれない。だから自分で状況を見ながら考えていくしかない。答えはないんですよね。