「子育てしんどい」はパパだって言っていい【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第29話】
ある日の朝、私の前を、これから保育園に行くと思しき親子連れが歩いていた。お父さんと、2、3歳くらいの小さな男の子。二人の押しているベビーカーには、まだ歩けなさそうな赤ちゃんが乗っていて、後ろ側には登園グッズが山のように吊り下げられている。
よくある朝の風景だけど、なんとなく気になったのは、妙にお父さんの足取りが重かったからだ。今にも止まりそうな速度でノロノロと歩く。いくら子連れと言っても、あれでは保育園までたどり着けるのだろうか……と思っていると、突然お父さんが立ち止まり、ベビーカーからだらんと両手を離してしまったのだ。
小さな男の子が何とかベビーカーを抑えようとするものの、ベビーカーはすぐにバランスを崩して、支えていた男の子といっしょに真横に転倒。ところがお父さんはというと、不思議とまったく慌てる様子もなく、男の子を見て「もう、やめてよ」と不機嫌そうに叱る。
それからゆっくり、渋々といった様子でベビーカーを起こしたのだった。
当然ベビーカーの赤ちゃんは大泣き。つい、大丈夫ですか?と声をかけると、お父さんは何事もなかったかのように、大丈夫です、と答えて、そのままそそくさと保育園の方に歩いて行ってしまった。
勢いよく倒れたわけじゃないから、赤ちゃんや男の子はまあ大丈夫だろう。それより気になるのはお父さんの方だった。完全に気力を失っているように見えた。疲れてるのかもしれないし、体調が悪いのかもしれない。何かすごく気になることがあって、余裕を持てない状況かもしれない。
でも、だからって「ほんとに? ほんとに大丈夫ですか?」なんて、いきなりしつこく聞くわけにもいかない。私に聞こえなかっただけで、男の子が何か叱られるべきようなことを言ったりやったりしているのかもしれないし……でも、そうはいってもやっぱりもやもやが残った。社会で子どもを育てるべき、と頭では理解していても、こんな風に、たった一度すれ違った人に対してできることというのは、残念ながら限られている。
子どもはお客さんじゃない。毎日顔を突き合わせて子育てしていれば、100点満点の対応ができないことも普通にある。
モーや夢見がまだ赤ちゃんだったころ、「あー泣いてるな」と頭ではわかっても、疲れ切ってどうしてもすぐに腰を上げてあやしに行けないことはまあよくあった。あまりに泣き止まないので、虐待を疑われて近所の人に通報されるのではとビクビクしたり。
誰かに優しい声をかけられたらそれはそれで、一人前の親じゃないって思われたような気がして落ち込んだり。
思えば、そんな中で、作業を誰かに担ってもらうのと同じくらい強い救いとなったのは「誰にだってあるよそんなこと」という、ママ友との気のおけないおしゃべりだった。
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