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「桃の節句」「端午の節句」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
生まれて初めて迎えるこの日は「初節句」といって、赤ちゃんの無事な成長を祝う大切な日となります。
じつは筆者はわが子が産まれるまで、初節句という言葉も、初節句が重要な行事だということも知りませんでした。親戚からお祝いをいただいて初めて、「初節句にはお祝いをする」ということを知ったのです。あわてて飾りや料理を準備することになってしまいました。
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もしかしたら同じように、この記事で初めて初節句という言葉を知ったという人もいるかもしれませんね。そんな方でもきちんとお祝いの準備ができるよう、男の子と女の子、それぞれの解説をしていきます。初節句の意味からこの日に飾るもの、準備する食べ物までピックアップします。
■初節句とは
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初節句とは、赤ちゃんが生まれて初めて迎える節句のことで、赤ちゃんの健やかな成長を願うお祝いの行事。女の子は3月3日の「桃の節句」、男の子は5月5日の「端午の節句」を指します。
節句は、「節日(せちにち)の供御(くご)を奉る」ことからきているといわれています。季節の変わり目に行われるお祝いの日(節日)に、神様にお供えもの(供御)をささげることを意味します。
季節の変わり目には邪気が入りやすいと考えられていたため、お供えものをしたり邪気をはらう行事が行われたりしていたのです。
そして、このお供えものを下げて人々がともに食事をするという習慣がありました。
江戸幕府が公的な式日として定めたのが五つの節句で、人日の節句、上巳の節句、端午の節句、七夕の節句、重陽の節句です。いまでも毎年決まった時期にお祝いする年中行事として定着しています。
■初節句はいつ?
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生まれてから初めて迎える、次の日付が初節句です。
女の子:3月3日(桃の節句)
男の子:5月5日(端午の節句)
たとえば1月生まれの男の子の場合には同じ年に初節句が迎えられますが、6月生まれの場合には翌5月が初節句となります。
ただ生まれて2〜3ヶ月ですぐに初節句の日が来てしまう場合には、ご家族の判断でお祝いを翌年に持ち越すという場合も多くあります。
生まれたばかりの小さい赤ちゃんの場合には首も座らず体への負担もあります。
またお母さんの体調なども顧慮しながら、夫婦、そしてご親族含めて相談して決めてはいかがでしょうか?
■初節句をお祝いする理由
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初節句では、お子さんの健やかな成長を願い、無病息災(病気をせずに健康であること)や良縁に恵まれることを祈ります。
男の子の初節句には、このほかに立身出世(社会的に高い地位につき成功をおさめること)の意味も込められています。
▼男の子(端午の節句)
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5月のこの時期は季節の変わり目で、雨季を迎えたり、病気が流行したりして、古代中国では「悪月」ともいわれていました。端午の節句は邪気をはらい、厄除けになる薬草の菖蒲(しょうぶ)が使われていたことから、別名「菖蒲の節句」とも。
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江戸時代にかけて、勢力の中心が貴族から武家に移っていきました。武を重んじるという意味を持つ「尚武(しょうぶ)」という言葉と「菖蒲」の音が同じであることから、武士の間で端午の節句がさかんに祝われるように。
これが転じて男の子の節句として定着し、立身出世の願いが込められるようになったのです。
▼女の子(桃の節句)
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現代では「ひな祭り」や「桃の節句」として親しまれている3月3日。いったいどのようにして女の子の初節句となったのでしょうか。
この日はもともと「上巳(じょうし・じょうみ)の節句」と呼ばれていました。上巳の節句には、わらや紙などで人の形を作り、体をなでて息を吹きかけ、悪いものを人型に移してから川に流すというおはらいの行事が行われます。
また平安時代貴族の子どもの間では「ひいな遊び」という人形を使った遊びがはやっていました。そんなおはらいの行事と人形遊びが合わさってできた、流し雛(ながしびな)が現代のひな人形のルーツといわれています。
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江戸幕府が3月3日を「桃の節句」に制定。桃の節句は、ひな人形やひいな遊びから、女の子のお祭りと考えられるようになりました。
なぜ桃なのかというと、旧暦の3月3日は桃の花が咲く時期だったこと、桃は邪気をはらう力がある魔除けの木とされていたからです。
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■【男の子】初節句の祝い方
初節句には家族や親戚を招いて、この日にちなんだ料理を出し、五月人形を飾ってお祝いします。
ここからは誰を招待するのか、どんな料理を提供するのか、五月人形とはどのようなものかを紹介していきますよ。
▼誰を呼ぶ?
初節句は子どもの成長を願うお祝いの行事。お祝いのしかたにとくに決まりはありません。誰を招待するかなども、家族で話し合って決めましょう。両家のご両親だけを招待する人もいれば、親しい親戚まで招待する人もいます。
節句祝いをいただいている場合には、お食事会などにご招待することで、内祝い(お祝いのお返し)の意味を込めることができます。当日出席できない方には、ギフトともに写真を送ると喜ばれますよ。
▼どんな料理を出す?
端午の節句には「ちまき」と「かしわもち」をふるまいます。どちらも縁起がいいと言われていますよ。
●ちまき
邪気払いの意味があり、古くから端午の節句に食べられていたものです。中国から日本に伝わったともいわれています。もち米やおもちを三角形にして、笹の葉などで包み蒸したもの。現在では、食事というよりもおやつという感覚が近いかもしれません。中華ちまきは、味付けされた肉などの具が一緒に包まれていて、おかずになります。
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●かしわもち
あんが入ったおもちを柏の葉で包んだものです。柏の木は、新しい芽が出るまで古い葉を落とさないことから、家系がとだえない、子孫繁栄の意味が込められています。
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▼祝い方・飾り
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端午の節句の飾りは「五月人形」と呼ばれます。家の中に飾る内飾りは「鎧(よろい)」「兜(かぶと)」、屋外に飾る「外飾り」はこいのぼりが一般的です。
内飾りに使われる鎧や兜は、武士の時代には身を守る大切な道具。「子どもの身を守り、たくましく育つように」という思いが込められています。
外飾りのこいのぼりには、立身出世の意味が。中国でこいは、どんな困難でも乗り越え、出世の象徴となる縁起の良い魚なのです。
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現代では住む環境によって、こいのぼりを立てることができないなどもあるでしょう。壁掛けのものにしたり、コンパクトなものを選んだりといった各家庭で工夫することも、子どもへのお祝いだと思います。
五月人形は、春のお彼岸があけた頃(春分の日を過ぎたあと)から飾り始めます。前日や当日に飾り始めるのは「一夜飾り」といって、あまり縁起が良くないとされていますのでできるだけ避けましょう。
五月人形などの飾りをしまう時期については、ひな人形の言い伝えのようなものはありません。ただ梅雨の時期となると、湿気がこもってしまうこともありますので、5月中ごろまでにしまうご家庭が多いのではないでしょうか。またケース付きの内飾りは、そのままインテリアとして一年中飾っておいても問題ありません。
■【女の子】初節句の祝い方
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女の子の初節句も男の子と同じように、家族や親戚を招待し、この日のための料理を出し、ひな人形を飾ってお祝いします。
ひなまつりが近くなると、ひしもちやひなあられが売られているのを目にする機会も多いでしょう。これらの食べ物にも深い意味があるのです。後ほど詳しくご紹介しますね。
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▼誰を呼ぶ?
お祝いの方法にも誰を呼ぶかにも、決まりはありませんので、家族で相談して決めましょう。
両家のご両親を呼んで、盛大にお祝いするのが一般的です。このほかにも親しい友人や親戚を招待したり、内祝いの意味を込めてお祝いをくださった方を招待したりします。
▼どんな料理を出す?
桃の節句には、ちらし寿司とはまぐりのお吸い物が定番。それから、ひし餅とひなあられをお供えします。
●ちらし寿司
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具材にはそれぞれ意味があります。長生きを意味する「えび」、見通しの良い「れんこん」、まめに働けるように「豆」。新鮮な魚介や春の野菜が出回る時期なので、三つ葉や卵、にんじんにイクラなど春らしい彩りのものも使われます。
●はまぐりのお吸い物
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はまぐりは対になっている貝がら以外はぴったり合わないことから、「一生一人の人と添い遂げられるように」という願いが込められています。
●ひし餅
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ピンク・白・緑のお餅をひし形に切って重ねたひし餅。ひし形となったのは、菱の実を模した、古くからの家紋の形、心臓の形を表したなど諸説あります。
それぞれの色にも諸説、いろいろな意味があるとされています。
・ピンク(桃の花)
魔除け
解毒作用があるくちなしを使う
・白(純白や雪)
長寿・子孫繁栄
血圧を下げるひしの実入り
・緑(新緑)
健康、長寿
増血作用のあるよもぎが使われる
●ひなあられ
3色の場合と4色の場合があります。
4色の場合には、ピンク(春)・緑(夏)・黄(秋)・白(冬)で四季を表しています。「一年中娘が幸せでありますように」という願いが込められているといいます。
黄色を除いた3色の場合には、生命(ピンク)・木々の芽吹き(緑)・雪(白)がイメージされていて、「自然のエネルギーを得られるように」という願いが。
またひし餅を砕いて作られたという説もあります。
▼祝い方・飾り
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桃の節句の飾りといえば、ひな人形。「人形が身代わりになり、子どもに災いが降りかからないように」という願いや「幸せになれるように」という想いを込めて飾られます。
ひな人形とひとくちに言ってもたくさんありますので、代表的な飾りをご紹介しますね。
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親王飾り:男雛(おびな)・女雛(めびな)のみの一段飾り
三段飾り:男雛(おびな)・女雛(めびな)・三人官女
七段飾り:男雛(おびな)・女雛(めびな)・三人官女・五人囃子・随臣(左大臣と右大臣)・仕丁(雑用係で怒り・泣き・笑いの感情を表す)
ひな人形を選ぶときは、飾る場所の広さや予算などから考えます。透明のケースに入っていてそのまま飾れるものや、収納の桐箱が飾り台になるものもあります。
飾り始めるのは、桃の節句の1ヶ月前(立春・2月4日ごろ)から1週間前までがよいとされています。そして、桃の節句が終わったら早めにしまいますが、地域によっては旧暦(4月3日)まで飾るところもあります。
「早くしまわないと、 婚期が遅れる」とも言われていましたが、現在はあまり気にする必要はありません。この迷信は、「片づけもできない女性はお嫁さんになれませんよ」という意味や「自分の身代わりとして穢れを移す風習があることから、災いを長くそばに置かないほうがいい」などからきているとされています。乾燥している日を選んでしまってくださいね。
▼女の子の初節句に着せたい服装は?
女の子の初節句には着物やドレスなどかわいい服がたくさんあるので、ついママも気合が入ってしまいますよね。なるべく赤ちゃんの負担にならない月齢に合った衣装選びを行いましょう。
●着物
女の子の初節句は古来より、赤ちゃんに赤い被布(ひふ)を着せてお祝いするのが一般的でした。ちなみに被布とは、着物の上に羽織る袖なしの上着を指します。
伝統を意識して、初節句の衣装として着物と被布をセットで着せるママは最近でも多いようです。
●袴ロンパース
着物を着せたいけれど、子どもが嫌がったり、汚したりすると心配というママには、袴ロンパースがおすすめです。
脱ぎ着がしやすく、ウエストを締め付けないので、赤ちゃんも動きやすいのが特徴です。おむつ替えもしやすいので、ママも手間なくお世話ができます。
●ベビードレス
月齢の低い赤ちゃんにも着せやすく、ふんわり可愛らしいベビードレスは女の子の初節句で人気の衣装です。
ドレスはレース部分がチクチクしたり、化学繊維でできたものが多いため、肌が弱い赤ちゃんの場合は、特に素材にも気を使うと安心ですよ。
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■初節句の飾りは誰が買うの?
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初節句の飾りを誰が購入するかは、地域によっても風習が異なります。関東ではひな人形は母方の父母が用意し、五月人形は父方の父母が用意することが多いかもしれません。
現在では両家で折半するという家庭も増えてきており、誰が用意するかにはあまりこだわらなくなっています。
■神社にお参りするときのマナー
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人生にはさまざまな節目があり、そういった大切なときには神社に行ってお参りしたいもの。初節句は、家族でお祝いするだけでも十分ですが、節目の一つですので神社にお参りに行くという方もいます。
神社で祝詩(のりと)をあげて祈祷してもらう場合は、念のため事前に神社に問い合わせを。
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「必ずしも初節句の当日にお参りしなければならない」というルールはありませんので、お子さんや家族の体調、お天気などを考慮してお参りする日を決めましょう。
▼服装
初節句で神社にお参りするときの服装に、とくに決まりはありません。神様に失礼のない服装を心がけてください。
3月や5月は季節の変わり目で、気温の変化も激しい時期です。赤ちゃんの体調に気を使いましょう。厚いものを一枚着せるのではなく、気温に合わせて脱ぎ着できるように、重ね着をすると良いですよ。防寒や日よけにも使えるので、ブランケットが一枚あると重宝します。
▼玉串料(初穂料)の金額相場
祝詩(のりと)をあげて祈祷してもらう場合には、神社にお金を支払います。このお金は、玉串(たまぐし)料や初穂(はつほ)料と呼ばれています。
金額の相場は¥3,000から¥5,000。金額が決まっている神社も多いので、事前に確認しておくと良いでしょう。
ご祝儀袋に入れて渡すこともできますが、お財布から直接お支払いしても問題ありません。
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■初節句のお祝いについて知っておこう!
おめでたい初節句の場で気になるのがお祝い金の相場。一般的なルールをはずさない正しいお祝いの仕方を確認しましょう。
▼初節句のお祝い金の相場は?
初節句のお祝いの相場金額は、祖父母の場合は50,000〜300,000円、親族が10,000〜20,000円ほど、友人は5,000〜10,000円が目安とされています。
祖父母のお祝い金はかなり幅がありますが、このなかには節句飾りの購入資金が含まれている前提です。
▼初節句のお祝いを渡す方法は?
ちなみに初節句のお祝いは通常2〜3ヶ月前から遅くとも10日前までに渡すようにします。
祝儀袋の水引は紅白の蝶結び、表書きは「初節句御祝」「御祝」または、「御初雛御祝」「御初幟御祝」と書きます。
■初節句の内祝い・お返しはどうすればいい?
内祝いとは、お祝いに対するお返しのことです。
初節句にお祝いをいただくこともあるでしょう。お返しにはどのくらいの金額で、どんなものを用意するべきなのかと悩みますよね。そんな疑問を解説していきましょう。
▼内祝いはする必要がある?
初節句のお祝いをくださった方を、お食事会に招待する場合は、内祝いを用意する必要はありません。招待できない場合や招待した方が欠席される場合は、内祝いを贈ると良いでしょう。
初節句の内祝いは必要ないという地域もあります。一般的には、お祝いの3〜5割の金額のものを内祝いとして用意します。
ご両親の場合には、内祝いの品物に、お祝い当日の写真を入れた写真立ては喜ばれることでしょう。当日の雰囲気をそのまま伝えられますし、写真立てに入っていれば、そのまま飾れて便利です。このほかには、お子さんの名前が入ったお菓子なども人気です。
■初節句の記念に写真撮影
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初節句のお祝いに、写真スタジオで特別な衣装を着ての記念撮影もおすすめです。初節句の思い出をずっと先まで残しておけますよ。初節句の撮影メニューを用意している写真スタジオもたくさんあります。
男の子は金太郎・桃太郎をイメージした衣装や、はかまなどの和服で、五月人形をバックに撮影します。女の子は着物を着て、ひな人形をバックに。いかにも雰囲気のある写真に仕上がります。
内祝いにこの写真を使うのも良いでしょう。
■楽しい初節句を
初節句は一生に一度しかないお子さんのお祝い。飾りや食事など準備があり大変かもしれませんが、早くから計画を立てておけば安心できるでしょう。
思い出に残るすてきな一日にしてくださいね。
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