私の人生は誰のもの? 母親が抱える苦悩と複雑な愛情を描いた漫画に涙が止まらない!
いまだ世間で根強くささやかれる「母性神話」。
女性には、もともと母性が備わっているからこそ、子どもを生めば自然と愛情がわき、わが子に尽くすのが母親の真なる愛であること。
そして、自己犠牲もいとわない母の姿こそが本来の母親像であるという周りの評価。
しかし厳しい世間の目に悩まされながらも、子どもを持ったことで、自分のなかにふつふつとこみ上げる「母親」を強く意識するのもまた事実。
そんな「母親」という生き物について深く切り込んだ渋谷さえらさん(
@voxxx)の
漫画がツイッター上で話題を呼びました。
■母になって漠然と芽生える「私の人生は誰のもの」問題
漫画の冒頭は、出産して、母親になった渋谷さんの率直な想いから始まります。
子どもが生まれた時点で、1人の女性から母親へと無条件に役割を与えられ、わが子に会えた喜びを感じるのもつかの間、その後は24時間体制のお世話がいよいよスタートするのです。
今まで自分に費やしていた時間は、ほぼすべて子どものお世話に費やされるようになり、行動も制限されます。
頑張ったからといって誰からもほめられることわけでもなく、
母親の努力が当たり前のようにとらえられる育児の現実。
しかも向き合うのは、生身の赤ちゃんであり、わけもわからず泣き続けたかと思えば、突然笑い出したり、まるで読めないお天気のように気分次第で振り回されることもたびたび。
母親たちは、日々育児のプレッシャーを抱えながら、自分のなかの何かが奪われていく感覚さえ味わいます。
そんな「私」が「私」でいられなくなる不自由さを予測した渋谷さんの言葉は、育児の喜びの裏に隠された母親たちの虚無感や恐れ、寂しさを表すものでもあります。
「私の人生は誰のもの?」
そう問いかけたくなる瞬間を経ながら、私たちは確実に母親となり、いつの間にか体に染みついた役割から脱することさえ難しくなるのです。