■妊娠中期におなかが張ったら受診したほうがいい?
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受診せず様子を見ていいのはこんな時
おなかが一時期張ったとしても、横になるなど安静にしておさまってくる場合は問題ありません。原因としては、ママは活動的に動きすぎてしまったり、生理的な子宮の収縮だったりなどが考えられます。
つわりが落ち着いてくると、気分が上がってどんどん動きたくなってしまいますが、無理は禁物です。こまめに休憩を取りながら、体調を管理するようにしましょう。
受診したほうがよい場合も!
反対に「これは受診したほうがいい」というケースは、安静にしていてもおなかの張りがおさまらない場合です。痛みの間隔が短くなっていったり、痛みがだんだん強くなったりするときは「切迫流産」(流産が差し迫った状態)や「切迫早産」(早産が切迫した状態)の可能性があります。
また、出血を伴う場合はすぐに受診しましょう。流産や早産の可能性や、妊娠中期以降に起こりやすい「常位胎盤早期剥離」(出産前に子宮から胎盤がはがれてしまうこと)などのトラブルも考えられるからです。
出血があった場合は必ず原因を解明する必要があるため、早めの受診をおすすめします。
参考サイト:
日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」
おなかの張りが心配なときに行うNSTとは
NST(ノンストレステスト)とは、ママのおなかの張りや赤ちゃんの心拍数を確認する方法です。妊婦のおなかに分娩監視装置という2種類のセンサーをつけ、子宮の収縮状態や赤ちゃんの心拍数をはかっていきます。
計測時間は約40分間で、赤ちゃんが元気かどうかを確認します。赤ちゃんは寝たり起きたりを20〜40分間ごとに繰り返すため、赤ちゃんがおなかで起きている場合は20分ほどで完了することもあります。
■妊娠中期の夜におなかが張りやすい時は寝方をチェック
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うつぶせ寝や仰向けはNG?
妊娠中期は安定期ですが、おなかはだんだん大きくなってきています。妊娠前にうつぶせ寝が好きだった人はその体勢がしたくなるかもしれませんが、そろそろおなかが圧迫されて苦しくなってきます。寝方によっておなかも張りやすくなってくるでしょう。
仰向け寝も、妊娠中期からはおなかが張りやすくなり、おなかが重くて寝られなくなってきます。足がむくんだり、つったりなどの不快な症状も出やすくなります。
さらに仰向け寝は、大きくなった子宮が脊柱の右側にある下大静脈を圧迫し、低血圧になる「仰臥位低血圧症候群」(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)を引き起こす可能性もあります。うつぶせ寝や仰向け寝はできるだけ控えておきましょう。
参考サイト:日本救急医学会「仰臥位低血圧症候群」
いい寝方はある?
妊娠中期以降でおすすめしたいのは、抱き枕を使って、横向きで寝ることです。座布団やクッションや枕を使用し、できるだけ楽な姿勢で寝てみましょう。低反発の素材やさらさらしたビーズクッションなどは使いやすいかもしれません。
また、おすすめの体勢で「シムス位」というものがあります。これは、横向きになり、上側になる足を前に出して、ひざを床につける体勢です。この体勢を参考に、抱き枕などを使用し、一番寝やすく、楽な体勢で眠りにつくのがいいでしょう。
■妊娠中期におなかが張った時の対処法7つ
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対処法1:安静にする
おなかが張ったら、第一は安静にすることです。安静とは座ることではなく、横になって休むこと。おなかが張ったまま動くのはおすすめできません。外出先ではすぐに横にはなれない状況かもしれませんが、ベンチがあれば浅く座って、背もたれにたっぷり体を預けて休憩し、おなかの張りが治まるまで待っておきましょう。
対処法2:体を温める
おなかの張りは冷えが原因の場合もあります。とくに夏場の冷房効いた部屋では、いつの間にか体が冷えてしまうことがあるので気をつけます。冬ならひざ掛けをしたり、足先から冷え込まないように厚手の靴下をはいてみたり。温かい飲み物で一息いれるなど、工夫してみましょう。
対処法3:無理しない
妊娠中は安定期でも無理は禁物です。妊娠初期よりつわりが治まり、体調が落ち着いてくることから、仕事もプライベートもどんどん行動してしまうママがいます。気持ちは分かりますが、自分の体調と相談して行うべきです。ときどき小休止を入れて、無理をしないように心がけましょう。
対処法4:ストレスや疲れはためない
「おなかが張る原因」の部分でも記載がありましたが、ストレスや疲れはホルモンバランスや自律神経を乱す一因になります。ホルモンバランスや自律神経が乱れると、子宮が収縮し、おなかが張る原因になります。休日はのんびりおいしいものを食べる、疲れたらしばらく横になるなど、疲れをためずにリラックスできるよう、日々の生活を見直すのもいいですね。
対処法5:ゆったりとした服装で
おなか周辺を締め付ける服や腹帯はおなかが張る原因になるのでやめておきましょう。ゆったりした服装で、体を楽に動かせることが一番です。
対処法6:軽い運動を取り入れる
気分転換になる適度な運動やストレッチをするのはおすすめです。ストレス解消にもなって、心も体も健やかになるでしょう。おなかの張る回数も少なくなってくるかもしれません。軽い運動をしながらゆっくりと深呼吸すると、さらにリラックスできそうです。
対処法7:食事にも気をつけて
最後に食事です。ママの健やかな体は毎日の食事からです。主食を中心にしっかりとり、エネルギーを蓄えましょう。不足しがちなビタミンとミネラルは副菜から摂取し、体をつくる肉や魚などの主菜も適量にし、バランスよく食べます。アルコールはやめておきましょう。
参考サイト:
厚生労働省「妊産婦のための食生活指針」
厚生労働省「妊娠中と産後の食事について」
■まとめ
妊娠中期のおなかの張りに悩むママは多いと思います。ただおなかが張る、といってもご紹介してきた通り、原因はさまざまです。「今、なぜおなかが張っているのか」自分では原因が分からなかったとしても、自覚症状があれば、早めに休養しましょう。
また、出血があるなど、何か心配ごとがあれば、すぐに産婦人科を受診するように心がけていきましょう。
参考資料:
・日本看護協会
・東彼杵郡医師会
・徳島県医師会
・日本産科婦人科学会
・日本救急医学会
・厚生労働省
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