妊娠が分かったとき、まず何を感じるでしょうか? 我が子を授かった喜びはもちろんですが、「無事に産んで育てられるだろうか」という不安を感じる人も多いかもしれません。妊娠中の不安感の原因と、不安とうまく付き合うための方法を紹介します。
妊娠中は不安になりやすいもの?
「妊娠前は気持ちが安定していることが多かったのに、妊娠してから不安を感じることが増えた」という人は多いものです。一体なぜ、妊娠すると不安を感じやすくなるのでしょうか。
ホルモンバランスの影響
妊娠すると、ホルモンバランスが大きく変化します。この急激な変化が、ストレスに対する脳の抵抗力を低下させることで、何げないことでも不安を感じやすくなるのです。
また、ホルモンバランスの影響を受けるのは、精神面だけではありません。つわりや腰が重く感じるなどのいわゆる『妊娠初期症状』とされる体調面の変化は、ホルモンバランスの変化によって引き起こされます。
妊娠中は心身共にダメージを受けやすい時期なので、「不安を感じるのは当たり前」と思って気持ちを大きく構えましょう。
※参考
厚生労働省e-ヘルスネット「妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療」
日常・体調の変化によるもの
妊娠すると、ホルモンバランスの変化によって体調不良が起きやすくなります。
妊娠初期のつわりを乗り越えても、赤ちゃんが大きくなる妊娠後期にさしかかると、胸やけや動悸・息切れなどの症状が現れ始めます。こうした体調の変化も、不安感を引き起こす原因の1つです。
また、「お腹の中に赤ちゃんがいる」と意識しながら生活するため、日常生活における動作や行動にも気を遣うようになります。
体が重くなってくると、妊娠前にはできていた動きができなくなったり、時間がかかったりするようになるため、よりストレスや不安を感じやすくなるのです。
※参考
厚生労働省妊娠・出産をサポートする女性に優しい職場づくりナビ「妊娠中の身体の変化と対応ポイント」
妊婦はどんな不安を感じるの?
妊娠中に感じる不安はさまざまです。体調のことや出産のこと、はたまた仕事について不安に思うこともあるでしょう。
不安を解消するためには、まず『自分がどんな不安を感じているのか』を自覚することが大切です。妊娠中の女性が抱えやすい不安について見ていきましょう。
出産の痛みに関する不安
出産は命がけです。そして、『鼻からスイカを出すほど痛い』といわれるほど、出産の痛みは壮絶とされています。そのため、『産むときの痛みに耐えられるか』と不安に思う妊婦さんがほとんどです。
とはいえ、陣痛の痛みは人によって違います。陣痛が長引く場合もあれば、陣痛がきてすぐに子どもが生まれる場合もあり、痛みの感じ方も人それぞれです。
先輩妊婦さんの出産体験談はあくまでも1つのケースとして捉え、痛みを想像することで不安を膨らませすぎないように意識しましょう。
赤ちゃんの成長について
大切な赤ちゃんだからこそ、きちんと成長しているのか不安になるものです。
つわりで思うように食事がとれなかったり、医師から「赤ちゃんが少し小さめですね」と言われたりすると、お母さんとしては発育が心配になりますよね。
「自分が体調不良だと赤ちゃんの健康まで損ねるのではないか」と思ってしまう人もいるでしょう。しかし、個人差はありますが、だいたい妊娠約4~7カ月になると『妊娠中期(安定期)』となり少しずつ体調が安定し始めます。
お腹が膨ふくらみ、赤ちゃんの成長を感じて「きちんと育っている」という安心感が得られる場合が多いので、それまでは焦らずに落ち着いて過ごしましょう。
※参考
厚生労働省妊娠・出産をサポートする女性に優しい職場づくりナビ「妊娠中の身体の変化と対応ポイント」
産後に仕事復帰ができるのか
仕事にやりがいを感じていたり、経済的に出産後も仕事を続けたいと考えていたりすると、出産で仕事を中断するのは勇気がいりますよね。
産前・産後休業や育児休業ができたとしても、すんなりと職場復帰できるかは不透明な場合がほとんどでしょう。職場復帰ができるのか、また復帰後も安心して働けるのかは職場によっても異なります。
スムーズな職場復帰を目指すためにも、出産する前に会社と相談して復帰時期のめどを付けておいたり、復帰までのスケジュール管理を行ったりするなど、あらかじめ準備をしておくのがおすすめです。
マタニティー期間を安らかにする解消法
さまざまな不安を感じやすくなるマタニティー期間ですが、せっかくなら心穏やかに過ごしたいですよね。不安を減らし、リラックスして過ごすのに有効な方法をまとめました。
抱え込まずに夫や専門家に相談を
妊娠中に感じる不安は、ため込まずに人に話しましょう。特に夫は、出産後は共に育児をしていくパートナーです。小さなことでも相談して、妊娠中の不安や孤独をなるべく解消していきましょう。
なかなか夫に相談することができないなどの場合は、都道府県・市町村の「女性健康支援センター」「母子保健相談窓口(保健所・保健センター)」などでも妊婦のためのサポート体制を敷いています。最近ではスマートフォンのアプリなどで助産師などに相談できるサービスもあります。
また、体調面での不安については、専門家からアドバイスをもらうのが得策です。
疑問点や不安などは遠慮せず医師などの専門家に伝えて、具体的な指示を仰ぎましょう。
結果的に大した問題がなくても、専門家から「それは大丈夫ですよ」と言ってもらうだけで、不安の解消につながります。
※参考
厚生労働省「妊娠期からの妊娠・出産・子育て等に係る相談体制等の整備について」
軽めの運動もおすすめ
何となく気分がふさいでいるように感じたら、軽めの運動をしてみるのもおすすめです。散歩やマタニティーヨガ、水泳などのアクアエクササイズで体を動かすと、気持ちが明るくなるのはもちろん、腰痛・便秘・肩こりなどの不調が緩和される場合もあります。
ただし、必ず医師によるメディカルチェックとアドバイスを受け、運動強度の高いエクササイズ(エアロビクスダンスやアクアエクササイズ・ヨガなど)の場合は専門の指導者の下で安全に行うようにしましょう。
※参考
厚生労働省e-ヘルスネット「マタニティーエクササイズ」
赤ちゃんとの出会いを楽しみに
妊娠中は体調や日常生活の変化によって不安を感じやすくなっています。不安をため込むと心にも体にも負担がかかるので、小さなことでも夫や医師などに相談して、なるべく心を穏やかに保ちましょう。
気分を明るくするためには、軽く体を動かしたりするのもおすすめです。無理のない不安との付き合い方を見つけて、赤ちゃんとの出会いを楽しみにマタニティー期間を過ごしましょう。
【保育士が明かす】登園しぶり解決法 〜”魔法の言葉”と絶対避けたいNG対応〜