子育て情報『体験ルポ!自分の命は自分で守れるように!家庭で行う非常時訓練』

体験ルポ!自分の命は自分で守れるように!家庭で行う非常時訓練

そうです、お風呂もシャワーもなし、テレビも見られないので何もやることがありません。あとは歯を磨いて眠るだけです。この日はランタンの明かりの元、カードゲームなどをして時間を過ごし、雑魚寝で眠りにつきました。

避難生活をすると、避難場所でこの状態が続くわけです。想像しただけでも疲れます。子どもたちからは「持ちだし袋に、トランプかUNOを入れておかない?」との提案があり、わが家の持ちだし袋にはトランプが追加されることになりました。

避難所・避難ルート確認も

これら以外に、わが家が一番やっておかねばならない大切なこと、それは“新しい土地での避難経路、避難場所の確認”です。土地勘ゼロの娘たち、どこにどう逃げたらいいのか分かりません。
翌朝、実際に町を歩いてみることにしました。

避難所となっている高台まで上がってみると、思っていたよりも低く海が近い。3年前に東日本大震災の被災地、女川地区や石巻を見てきた長女は「ここじゃ低くない?」と。確かにあの時の波の高さを考えると、ここでは安心できません。
「ここまで上がってきて海を見て、まずいなと思ったらこの裏山を上がって行きなさい」と伝え、裏山も歩きました。

最後に「もし母さんがいないときに、避難しなければならなくなっても、探さないでいいからね。自分たちだけで逃げて、何とか生き延びるんだよ。生きていたら、探し出せるから」と、家族の約束事も確認し合い、非常時訓練を終えました。

「それぞれが逃げていると信じ、自分で自分の命を守ること」、この意識が大切なのです。

自分の命は自分で守る

たまたまこの体験をした数日後と1週間後に豪雨にみまわれた西日本。幸いわが家は被害がなく、実家の店の道が土砂崩れにあっただけで済みました。

後日、町内の災害訓練キャンプで聞いた専門家の講話によると、やはり一番大切なのは“自分の命は自分で守る”こと。「大人は子どもたちの命を守る義務があり、また子どもたちは大人がいなかったとしても、自分だけでも行動できるよう、準備、トレーニングをしておくことが大切」なのだと聞き、納得。

いつやってくるか分からない自然災害、日頃の備え、トレーニングは大切だと実感した2018年の夏でした。<文・写真:フリーランス記者林未香>
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