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低学年必見!読書感想文が楽しく書けるコツをプロ講師に聞いてみた

あんふぁん
夏休みの宿題といえば読書感想文。苦手、楽しくないと感じている子も多いですよね。
でも、アニメや映画を見て感想を抱くように、読書感想文も本来は楽しいもののはず。
もしかしたら、「こう書かなければいけない」という義務感が苦痛の源なのかもしれません。
今回は、読書感想文に楽しみながら取り組むコツについて、ベネッセお茶の水ゼミナールの現役国語講師 秋元暁哉さんへインタビュー。「桃太郎」を題材に、ワクワクする読書感想文の具体例も教えてもらいました。

低学年必見!読書感想文が楽しく書けるコツをプロ講師に聞いてみた


“正しい書き方”に縛られる必要はありません



ー苦手な子が多いイメージの読書感想文ですが、楽しくなる方法はあるのでしょうか
何かを見たり読んだりして、強烈に味わった感情を誰かに伝えたくなるのは人間の本能のはず。読書感想文も同じです。

それなのに、苦手な子が多い理由は、“正しい書き方”に縛られているからではないでしょうか。自由に感想を書けないことが楽しくない原因のひとつでは、と思います。
僕自身の体験ですが、小学校2年生の時に読書感想文コンクールで入選したことがあります。しかしそれは、母の指導のもとマニュアル通りにイヤイヤ書いた結果でした。
その後、授賞式で最優秀賞の女の子の文章を聞いて衝撃が走りました。その文章からは「読書を体験した」ことが生々しく伝わり、自分を取り囲む世界と本の世界が見事に溶け合い心を打たれる内容でした。

ー「読書を体験する」とは、どういうことでしょう?
本を読むことはひとつの経験です。読書を通して世界が広がり、知識が増え感情も動きます。
一冊の本が人生を変えることも。読書の前後で行動の変化があれば、最高の体験となります。
読書がただ文字を読むという行為ではなく、五感をフル回転させて感じたことが行動や生き方につながるものとなるのが「読書を体験する」ということではないかと思います。

STEP1:ときめく本に出合うことが一番大事


読書感想文を書く上で最も大切なのが本の選定です。学校により異なりますが、課題図書以外に自由図書を選ぶこともできます。
秋元先生に伺うと、「ときめく本に出合うことが一番大事」とのこと。
子ども自身が「面白そう!」「ワクワクする!」と思える本を選びましょう。読書初心者ならストーリーが長めの絵本でもOKだそう。

読み進め方は、児童書なら毎日読書タイムを作り一章ごと読む、一人読みが苦手なら読み聞かせという方法も。
「もし選んだ一冊がしっくりこなければ、違う本を探しましょう。読書経験はあればあるだけ自分の価値になるので、これを機に様々な本を読んでみるのがいいと思います」。

STEP2:インタビューで子どもの感動に共鳴する


読み終えたら、いよいよ子どもの感情を引き出します。
「小学校低学年は、いきなり感想を書きなさいと言われても困難です。感じたことがあっても、それを人に伝わる言葉にするのは難しいので、親が導いてあげましょう」。

ー子どもの感想をうまく引き出してあげる方法は?
インタビュー形式で感想を聞いてあげましょう。まずはお話の中で一番好きだったところを聞きます。
そこから「なんで?」と掘り下げていきます。
「どんな言葉がよかった?」「どんな気持ちになった?」など様々な視点から聞いてください。
まだ語彙も少ないですし、支離滅裂な答えが返ってくることもあるでしょう。その時は親が言い直してあげるといいですよ。
大切なのは、子ども自身が持つ“語りたい本能”を引き出してあげること。たとえ、トンチンカンな答えでもすくい上げてください。
また、ストーリーの本質とかけ離れた部分に感動していても、それも一つの感想です。
感想に正解はないので、子どもならではの意見、言葉、視点に気づいてあげるとどんどん語ってくれるかもしれません。

読書感想文を通して、子どもの持つ感性を再発見できる機会にもなりますよ。

インタビューで聞き取った子どもの言葉は、付箋やメモを使って書き留めておきます。
そのインタビューメモを使って作文へ進みます。

STEP3:誰かの心に響く文章の書き方とコツ


「読書感想文の書き方」と調べるとたくさん方法が出てきます。起承転結を意識した書き方が基本とされていますが、ここではあえてマニュアルから外れます。
今回のテーマは「楽しく読書感想文に取り組む方法」。模範解答的な枠組みにとらわれず自由に、かつ誰かの心に響く文章の書き方をお伝えします。

ーインタビューメモをどのように感想文へと仕上げればいいのでしょうか。

インタビューでは子どもが最も心が動いた部分に注目して掘り下げました。作文にする時も、心に残ったセリフやシーンを切り取り文章を構成します。

1.心が動いたセリフやシーンの紹介
2.簡単なあらすじ
3.感動した場面への自分の意見・共感した理由
4.読書から得た新たな視点

冒頭でいきなり、心が動いたセリフやシーンについて書きます。インパクトのある出だしなので読む人の興味を引きつけます。
そして、「なぜ?」で聞き出した言葉、その理由を書いきます。途中に簡単なあらすじを入れると、心が動いたシーンがより強調されます。
そして最後にまとめとして、読書体験で広がった視野について書きます。

『桃太郎』の場合

桃太郎の勇敢さや仲間との団結力についてスポットを当てがちですが、子どもが「仲間のキジがかっこよかった!」と感じたとします。


1.僕は鬼と戦う時のキジにひかれました。空から鬼をやっつけるのはキジにしかできません。僕もそんな特別な力を持っているキジのようになりたいです。
2.桃太郎はきびだんごを持って鬼退治に行きます。途中で、犬、猿、キジを仲間にし鬼退治に成功します。
3.キジのことが気になったので調べたら、タカと比べられ弱いと言われるそうです。しかし、空を飛ぶキジが上空から道案内をしてくれたおかげで、桃太郎たちは鬼ヶ島にたどり着きました。桃太郎も鬼も空を飛べず、キジだけが飛ぶ力を持っています。
4.まわりからどんな風に言われても、自分の力を発揮できるのはかっこいいです。僕も人より苦手なことがあるけれど、僕にしかできないことで誰かの役に立てるようになりたいです。

一見、桃太郎の感想とはかけ離れて見えますが、子どもがこんな視点を持っていたらこれも一つの正解です。
強烈に感じたものを前面に押し出した文章に読んだ人は、「なんでそう思ったの?」と気になります。それが人に響く文章の書き方のコツです。

読書感想文は親子のコミュニケーションのきっかけにも


秋元先生にお話を伺い、読書感想文を楽しむには、型に縛られず書きたいことを自由に楽しく書くことが一番大切ということがわかりました。
書き方のコツなどもご紹介しましたが、「誰かに伝えたい!」という感情が湧き上がるような本選びが読書感想文を楽しむための第一歩になりそうです。
自宅で過ごすことが多い時期、本を通して親子のコミュニケーションが図れるきっかけにもなるのではないでしょうか。<文・写真:ライター秋音ゆう>

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