日本人親子がパリで暮らせば 第24回 「クラスユーロ」と呼ばれる”英語強化クラス選抜テスト”に挑戦
トップライター:沼口祐子
英会話試験では趣味の乗馬についてスピーチした14歳のころの娘。
娘は2011年の1月にシュタイナー学校からフランスの公立中学5年生(日本の中学1年)に転入しましたが、その春に「クラスユーロ」の試験を受けることになりました。クラスユーロは正しくは「セクション・クラス・ヨーロピアン・アングレ」。翌年の4年生(日本の中学2年)から始まる英語の強化クラスに入るための選抜テストです。30人という少数の席を得るため、12歳の子どもたちが英語力を競い合うのです。
重要な試験とは知らずに受けた娘は……。
クラスユーロ試験は強制ではありませんが、9割の生徒が申し込んでいたようです。
わが家の場合はまだ公立校のシステムすらよく理解できていない時期で、娘とわたしのやり取りはこんな感じでした。
娘「ママ、クラスユーロのテストがあるよ。ジュリーはいっしょにチャレンジしようって言うんだけど……?」
わたし「受験料はいくら?」
娘「タダだって」
わたし「そう、ならカリンは英語が得意だから受けてみたら」
娘「じゃあ、申し込むよ」
当時、わが家は節約生活をしていたので、わたしは「お金がかからないならいい」という軽い気持ちでそう答えました。
そうしてクラスユーロの筆記試験の日がやってきました。忘れもしません、その日2011年4月29日は、英国王室のウィリアム王子とキャサリン妃の婚礼の日でした。
毎日通っている中学校の教室での試験ですから、娘もまったく緊張することなく、いつもと同じように登校して行きました。
クラスユーロの試験は、最初に筆記試験があり、そこで60人が合格します。その後、スピーキングのテストがあり、そこで最終的に30人が合格するというシステムです。
フランス人が、クラスユーロ試験をどれほど重要と考えているかを知ることになったのは、筆記試験合格者の発表の日でした。
校内の壁に張り出された筆記試験合格者60名のリストの前は大騒ぎだったようです。抱き合って合格を喜ぶ生徒、反対に泣き崩れて先生になだめられる生徒も大勢いたと聞きました。
軽い気持ちで受け、なんとなく受かってしまった娘はこの光景に驚き、申し訳ないような気持ちになったと帰宅後に話してくれました。
英語の筆記試験は英国王室の慶事の日でした。愛犬ジュエルはコスプレで応援?
2次試験は英語でスピーチ!
それから数週間後、筆記テスト合格者60名は会話テストを受けることになりました。