日本人親子がパリで暮らせば 第24回 「クラスユーロ」と呼ばれる”英語強化クラス選抜テスト”に挑戦
でも引き続き、クラスユーロに在籍できるシステムです。が、娘のクラスユーロは中学終了とともに終わりました。
地元のリセでは、クラスユーロの生徒は歴史地理をも英語で学ぶので、英語に加え、この成績もトップクラスでなくてはならなかったのです。歴史地理が苦手な娘は続けられるはずがありませんでした。
今も娘が住む、パリ・リュクサンブール公園の風景。
クラスユーロは将来に役立つのか?
ところで、クラスユーロに入っているとどんな利点があるのでしょうか?まずは高校卒業時に受けるバカロレア試験(大学入学資格試験)の加算点数になること。そして、バカロレアに合格すると、その証書にクラス・ヨーロピアンに在籍していたと明記されるのです。
もっともフランス国内の全部の公立中高がクラスユーロを実施しているわけではなく、ない学校もあります。
また英語でなく、スペイン語やドイツ語のクラスユーロを実施している学校もあります。
さらに、中学校での学業は平等にすべきと社会党政権下では、一度クラスユーロが廃止になった期間もありました。現在のマクロン政権下では、再びクラスユーロ選抜が復活していますが。
さて、今はフランスの大学生になった娘は当時を振り返りこう言っています。「クラスユーロに入らないで、普通の英語の授業でいい成績をキープしたほうがよかったかもと思ったりもするよ。でも、今は、どちらでも関係ないかな。本当の英語力が求められるのは、この先の就職のときで、企業にとっては英語力をはかるのはTOEICだけだもの」と。
娘にとってクラスユーロでの泣き笑いは、中学時代の思い出のひとつ。
それだけのようです。
(次回に続く)
沼口祐子(ぬまぐちゆうこ)1957年静岡市生まれ。編集プロダクションを経て、フリーライターになり、女性誌のさまざまなページ作りに携わる。1995年に渡仏し、パリで20年間子育て、犬育てをしたのち、2015年に帰国。著書に、『しあわせになれるパリ幼稚園物語』、『気分はパリ暮らし』などがある。