[第1回]「ぼくはアスペルガーなお医者さん」幼少期を振り返り思うこと
医師として活躍する畠山さん。幼少期に困ったのは「クリスマスプレゼント事件」
編集部:現在の活動からお伺いしてもよろしいですか?
畠山:整形外科の医師として開業医をしていましたけど、それをやめて、書籍を出版したり講演をしています。
親御さんにむけて「子どもの褒め方のコツの解説が聞きたい」、と言われたらいくらでもできますよ!(笑)
編集部:畠山さんの本を読んで、幼少期からずっとアスペルガー症候群の特性が理由で困っていたという印象はあまり無かったのですが…
畠山:そうですね。しいて言えば、書籍にもあるクリスマスプレゼントの事件。
小学生のとき、クリスマス会のプレゼント交換があったんです。準備をちゃんとして持っていたのに、僕の持っていったプレゼントは手元からなくなってしまった。平たく言えば、「盗まれた」わけですね。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=28177002850
そのときに、僕はあったはずのものは無いのでパニック。しかも誰かが、盗まれた僕のプレゼントを、クリスマス会の交換会で出していました。
誰かはわかりませんが、交換会のプレゼントを見つけて、「盗まれた」と気づいた僕は、周囲に一生懸命主張したんです。でも、誰も僕の話は聞いてくれなかったんです。
「盗まれた」と僕は言っているのに、周囲の人はそれよりも僕の主張の強さや仕方が気になったのか「いいんだよ、落ち着いて。プレゼントがなくても参加していいんだよ」と、なだめました。励ましてなだめてきたんです。
それはおかしくないですか?あれはなんでなんでしょうね?(笑)
編集部:なんなんでしょうね(笑)
間違いが容認される社会では、価値観が歪んでゆく
畠山:担任の先生も、なだめる事はしても、盗まれた事自体には何もしてくれなかったわけです。
誰かが窃盗を犯したのに、その時は被害側の僕が抹殺されたようなものですよね。
兄がいうには「あのときお前は3日間くらいずーっと(その事を)言っていたよね。」と。
それくらいおかしいと主張していたのに、周囲の大人は盗まれたことよりも「そんなにこだわるお前はおかしい」と言ってきたんですよ。それは納得できないですよね。
編集部:なるほど。
畠山:今思えば、そこで理解を間違えてしまうと「モノは盗んでもバレなければいいんだ」