「遊ぶように学ぶ」障害の有無問わず、そこに人間関係のつくり方がある
ここではAくんとしましょう。
Aくんは怪獣が好きで、ごっこあそびも大好き。
好きなことを通してお友達と一緒に遊びたい、そんな関心が高まっている時期でした。
しかし、親御さんに見せてもらった保育園の頃のビデオには、行事で並んだり一緒に行動したりする場面で、集団の中に入っていけずに、ポツリと座り込んでいる姿が。
集団行動はとても苦手なようで、当時のAくんは、人の会話に文脈を無視して割り込んでしまうこともあり、小学生になってからは、学校で嫌がらせを受けたこともあったそうです。
そんなAくんでしたが、ワークショップに来てくれたときには全く違う姿を見せてくれました。初めて出会う子ばかりなのに、ワークショップが始まる前から同世代の男の子たちと仲良くおしゃべりをしているのです。
Upload By 山田小百合
その日の活動は、2人1組で架空の植物を作るというもの。
3時間ほどの長丁場でしたが、2人は笑顔で、かつ真剣に制作をしていました。
途中、自閉傾向のある本人の特性か、A君が自分のこだわりを譲れずに、ペアの男の子がため息をつく場面もありましたが、ほとんど大きな介入は不要でした。
私はファシリテーターとしてAくんのこだわりを活かせるような声かけをしただけで、後は子どもたちが自分で解決していったのです。
ワークショップの最後には、作品紹介のためのシートを書きました。
Aくんは字を書くのが苦手な様子で、自然と「これ書いてもらえる?」とペアの男の子に自分から声をかけていました。
2人は、できる部分は一緒に考えつつ、難しいところは役割分担をするということを、大人が教えるでもなく自ら行っていたのです。
発表の際には2人で爆笑しながら作品を紹介、ワークショップ全体の雰囲気を温めて帰ってくれました。まさに、彼らのおかげでワークショップが成功したと言える出来事でした。
Aくんの親御さんは、「本当は、本人の気持ちとしてはいろんなお友達と関わりたいのに、支援級にいることで、その機会が格段に減ってしまった」というジレンマを教えてくださいました。後日、「ワークショップの中で、他人への関心が生まれた」「ワークショップでの経験を生かして、今では学校でお友達と遊んだり関わったりする様子がみられ、楽しく学校に通っている」と、嬉しい感想を送ってくださいました。
中学生のころに感じた同級生と自分の温度差、そして違和感
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132009609
私たちは、日々このようなワークショップを行っていますが「障害があってもなくても、遊んだり学んだりできる環境づくり」