子育て情報『「困りごとの解決」だけが、発達障害者への支援とは限らない―アスペルガー当事者の高校教師が伝えたい思い』

2016年10月27日 13:00

「困りごとの解決」だけが、発達障害者への支援とは限らない―アスペルガー当事者の高校教師が伝えたい思い

他の多くのみんなの感覚と、自分の感覚は決して同じではないこと。当事者の方には一刻も早く気づいてほしい。

でもボクはこのことをネガティブには捉えていません。決して絶望なのではなく、むしろスタートラインだと思っています。

自分と他人は違うのだということを受け容れて初めて、ボクはボク自身の幸せを追求できるようになるからです。


他人と比較すればするほど、「困り感」は増幅していく

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10139003027

アスペルガーだと公表してから、周りからいただく質問は「何に困っているか」という話題がほとんどだとお話しました。でも、そもそもボクたちが抱く「困り感」とは、いったいどこから生まれるのでしょう?

思うにボクらは、自分と何かを比較することで、差を見つけ、そこからやり場のない困り感を生み出している気がします。

わかり合えるはずなのに戦ってみたり、できないことをしようとしてみたり、必要以上に不安に感じたり。
できることだけをすればいいのに周囲と合わせなくちゃいけないからとか、仕事だからとか、成績だとか、これができなきゃ将来困るからだとか…そんな風にして周囲と比べ、差を埋める努力を重ねれば重ねるほど、良くも悪くも自分らしさを認めることが減っていく。

ボクはそんな自分に疲れたんです。何をやっても上手くいかない日々、悲しくて泣いた日々を思い出すことさえ嫌なんです。実は未来に期待することも嫌です。それより今、幸せでいたい。自分らしく生きていたい。ボクの内側からそんな声が溢れていることに気づきました。

そこからボクは、考え方を少し変えてみることにしました。


困った時は、困っていることに注目するのではなく、
「世界に自分1人であれば、こんなに困ることはないはず」
「いつだって1人ぼっちになってもいいように、自分にできることを追求してみよう」
そうやって考えることにしたのです。別に何かを始めることではなく、そんな風に意識を変えただけです。驚くことにそれだけで、徐々に葛藤が減り、トラブルが減り、心が穏やかになり、格段に楽しい日々を送れるようになりました。なぜか以前より友達も増えたんですよ。

それからは、“他人”との差ではなく、“ボク自身”の内面の変化に気付けるようになりました。

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