子育て情報『療育にも活用される「音楽療法」の最前線! 子どもたちへの多彩なアプローチについて徹底取材!』

療育にも活用される「音楽療法」の最前線! 子どもたちへの多彩なアプローチについて徹底取材!

その他にも、松﨑さんが子どもたちに音楽療法を実施する際、とても大切にしていることがあります。それは、その子が音楽療法のセッションの中で学んだことを、日常の生活でも実践できるようにサポートしていくことです。

音楽療法のセッションのなかで、子どもは社会性やコミュニケーションなどのさまざまな部分で成長を見せてくれます。しかし、それがセッションの中だけで終わってしまっては意味がない、と松﨑さんは考えます。そのためにも、保護者の協力は必須であるとのこと。

松﨑さん含め、音楽療法士は、長いスパンでその子の成長を見ており、その子の長い人生の中の大切な一時期を自分たちが担っているという気持ちでセッションに取り組んでいるそうです。


2. 医療現場での音楽療法の取り組み

音楽療法は、作業療法や言語療法のように保険が適用されるものではありません。よって、日本の医療現場では音楽療法を取り入れることについてあまり積極的ではないようです。


しかし、そうしたなかでもいち早く、発達障害のある子どもに対する音楽療法の療育効果に注目し、治療計画の一環として取り入れたクリニックがあります。

筑波こどものこころクリニックの院長、医学博士の鈴木直光先生です。鈴木先生のクリニックでは、2015年より、通常の診察と並行して、別室で音楽療法士によるグループセッションを行っています。

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筑波こどものこころクリニック

鈴木先生は、そこで録画された様子を、診察でも役立てています。 「音楽療法のセッションの中での子どもの様子を観察していると、発達障がいのある子どもに特有の、さまざまな症状を見出すことが出来ます」と言います。例えば、ADHDの子どもは、音楽が止まることを合図にその場で静止することができなかったり、ASDの子どもは音楽に合わせて左右交互に 腕を振ることが難しかったりします。また、ADHDの子どもは音楽に合わせて片足立ちをする際に、体幹が弱いため膝が前にこず、床を蹴るような動作をしてしまうことも特徴だそうです。

しかし、そのような兆候は、音楽療法のセッションをこなすごとに改善していくと言います。
それだけではなく、言語的な発達、衝動性の抑制、社会性の伸びなど、広い範囲の発達を促すことができると言います。

鈴木先生は、診察と並行して音楽療法を行うことで、診察室では見られない子どもたちの発達の状態をより深く理解することができると話してくださいました。

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