脳は「走るな!騒ぐな!」を理解しずらい!声掛けのコツは「トイレの貼り紙」にあった!
こんにちは。『子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132106202
「白い象を思い浮かべないでください!」
…さて、脳裏に浮かんだものはなんですか?
「思い浮かべないで」と言われながら、"白い象"を想像してしまったのではないでしょうか?
実は人間の脳は“否定形”がわからず、「~しないで」と言われた場合でも、最初のフレーズを素直に想像してしまう傾向があるそうです。
さらに、否定形にされるとメッセージが強調され、「~しないで」と言われたことでも、逆にやってみたくもなります。
例えば昔、東京タワーにろう人形館がありました。壁に直径3センチほどの穴が開いていて「絶対にのぞいてはなりません」と注意書きが貼ってあったのです
しかし、その注意書きはむしろ周囲の注目を引き、たいていのお客さんが興味津々でのぞいていました。これは、「のぞくな!」と禁止されればされるほど、“のぞく”という言葉が印象付けれ、同時に、好奇心が湧くからでしょう。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038023355
子どもを叱るとき、ついこんな言葉をかけてしまいます。
・「走らないで!」
・「売り物のお肉は触らないで!」
・「手を使って食べないで!」
・「大声を出さないで!」
・「席を立たないで!」(学校の先生でも頻繁に叫んでいる人いますよね)
でもこれ、“白い象の原理”と同じで、子どもの頭の中は次のような“ややこしいこと”になっています。
・「走らないで!」→「走る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「歩く」
・「お肉は触らないで!」→「触る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「触らないようにする」
・「手を使って食べないで!」→「手を使う」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「スプーンを使う」
最初に言われたフレーズが印象づけられた後に、それをひるがえす、なんともまどろっこしいことを頭の中でしなくてはならないのです。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10154002776
食事中、「手を使って食べないで!」と否定形で注意されたら、子どもは自分の行動を否定されて嫌な気分になり、反発したくなります。
また、この注意の仕方では「だったらどうすればよいのか」の具体的な方法が示されていないので、子どもは良い行動に移りにくいのです。曖昧な指示がわかりにくい発達障害の子どもだったらなおさらでしょう。
同じ状況でも肯定形で「スプーンを使って食べようね」「お箸を使って食べようね」と言われたら、字面通り「どう行動すればよいのか」わかりやすくなります。
否定形の呼びかけは、次のように言い換えましょう。
×「走るな」⇒○「歩きなさい」
×「手で食べないの」⇒○「スプーンを使って食べようね」
×「絶対に遅刻しないように起きなさい」⇒○「7時に起きよう」
×「席を立っちゃ駄目」⇒○「座りましょう」
×「怒鳴ってはいけません。
×「お店の商品は触らないで」⇒○「売り物は見ているだけにしよう」
×「散らかさないで」⇒○「元あった場所に片づけよう」
×「ピチャピチャ音を立てて食べないの」⇒○「口を閉じて食べよう」
×「残さないで食べなさい」⇒○「お皿の上をピカピカにしよう」
×「ひじをつかないで食べなさい」⇒○「ひじはテーブルの外側にね」
×「独り占めしないで」⇒○「お友達に貸そう」
このように言い換えるだけで、子どもは望ましい行動を即座に思い浮かべ実行に移すことができます。更に否定的な言葉ではないので、素直に受け入れます。
昔の公衆トイレには「汚く使うな!」の貼り紙がありました。
まだ用を足していないうちから「この人、汚く使うに違いない!」と疑われているようで、気分が悪く感じますよね。
Upload By 立石美津子
最近のトイレは「きれいに使って下さい」と肯定形で書かれていることが多いですよね。でもこの上から目線の命令形の文章では、「この人、汚すかも…」と疑われていることに変わりありません。
そこで、最近はこんな表記も多くなってきました。
「きれいに使ってくださり、ありがとうございます。」
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これですと、使う前から「この人はきれいに使う人に違いない」と信用されているようで、「きれいに使おう!」と思います。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10250000532
アスリートだってメンタルトレーニングのとき「平均台から落っこちないように練習する」とか「失敗しないように練習する」とはしません。「絶対に成功する」「絶対に金メダルをとる」と脳に成功イメージの暗示をかけて、実力以上の力を出そうとするそうです。
子育ても「牛乳をこぼさないように運んで!」等の「~しないで」の否定形で言うより、「牛乳をゆっくり歩いて運ぼう」の肯定的な言葉のほうがより伝わりやすくなります。
たとえば、公共の場所で走ってしまう子どもに「走るな!」と伝えても、とっさに理解しにくく、子どもはどうすれば良いかわかりません。それだけでなく、嫌な気持ちや言われたことを拒みたくなる気持ちが生まれます。
しかし、「歩こう」と肯定的な言葉を伝えれば、どうすればいいのか具体的にわかるので、行動に移しやすいだけでなく、素直に受け入れたくなります。
よく考えてみると大人だって「靴のまま入らないで!」とか「土足厳禁!」と貼り紙がしてあるよりも、「靴を脱いでお入り下さい」と書かれていた方がわかりやすく、また気分よく従うことができますよね。
親子だけでなく夫婦、上司と部下の場合も同じです。
人間関係を良好に保つためにも言葉のかけ方って大事ですよね。子どもだって例外ではありません。言葉のかけ方一つで、今まで苦戦してきたことが解決するかもしれませんよ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4799105566
立石 美津子(著)すばる舎『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』
突然ですが、実験です。
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132106202
「白い象を思い浮かべないでください!」
…さて、脳裏に浮かんだものはなんですか?
「思い浮かべないで」と言われながら、"白い象"を想像してしまったのではないでしょうか?
実は人間の脳は“否定形”がわからず、「~しないで」と言われた場合でも、最初のフレーズを素直に想像してしまう傾向があるそうです。
さらに、否定形にされるとメッセージが強調され、「~しないで」と言われたことでも、逆にやってみたくもなります。
例えば昔、東京タワーにろう人形館がありました。壁に直径3センチほどの穴が開いていて「絶対にのぞいてはなりません」と注意書きが貼ってあったのです
しかし、その注意書きはむしろ周囲の注目を引き、たいていのお客さんが興味津々でのぞいていました。これは、「のぞくな!」と禁止されればされるほど、“のぞく”という言葉が印象付けれ、同時に、好奇心が湧くからでしょう。
子どもによく言ってしまう言葉
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038023355
子どもを叱るとき、ついこんな言葉をかけてしまいます。
・「走らないで!」
・「売り物のお肉は触らないで!」
・「手を使って食べないで!」
・「大声を出さないで!」
・「席を立たないで!」(学校の先生でも頻繁に叫んでいる人いますよね)
でもこれ、“白い象の原理”と同じで、子どもの頭の中は次のような“ややこしいこと”になっています。
・「走らないで!」→「走る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「歩く」
・「お肉は触らないで!」→「触る」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「触らないようにする」
・「手を使って食べないで!」→「手を使う」→でも「・・・しないで!」と叱られたので「スプーンを使う」
最初に言われたフレーズが印象づけられた後に、それをひるがえす、なんともまどろっこしいことを頭の中でしなくてはならないのです。
否定形だけだと「じゃあどうすればいいのか」が示されない
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10154002776
食事中、「手を使って食べないで!」と否定形で注意されたら、子どもは自分の行動を否定されて嫌な気分になり、反発したくなります。
また、この注意の仕方では「だったらどうすればよいのか」の具体的な方法が示されていないので、子どもは良い行動に移りにくいのです。曖昧な指示がわかりにくい発達障害の子どもだったらなおさらでしょう。
同じ状況でも肯定形で「スプーンを使って食べようね」「お箸を使って食べようね」と言われたら、字面通り「どう行動すればよいのか」わかりやすくなります。
肯定形への言い換え集
否定形の呼びかけは、次のように言い換えましょう。
×「走るな」⇒○「歩きなさい」
×「手で食べないの」⇒○「スプーンを使って食べようね」
×「絶対に遅刻しないように起きなさい」⇒○「7時に起きよう」
×「席を立っちゃ駄目」⇒○「座りましょう」
×「怒鳴ってはいけません。
騒がないで」⇒○「小さい声で言いましょう」
×「お店の商品は触らないで」⇒○「売り物は見ているだけにしよう」
×「散らかさないで」⇒○「元あった場所に片づけよう」
×「ピチャピチャ音を立てて食べないの」⇒○「口を閉じて食べよう」
×「残さないで食べなさい」⇒○「お皿の上をピカピカにしよう」
×「ひじをつかないで食べなさい」⇒○「ひじはテーブルの外側にね」
×「独り占めしないで」⇒○「お友達に貸そう」
このように言い換えるだけで、子どもは望ましい行動を即座に思い浮かべ実行に移すことができます。更に否定的な言葉ではないので、素直に受け入れます。
たとえ肯定形であっても、命令されると不愉快になる
昔の公衆トイレには「汚く使うな!」の貼り紙がありました。
まだ用を足していないうちから「この人、汚く使うに違いない!」と疑われているようで、気分が悪く感じますよね。
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最近のトイレは「きれいに使って下さい」と肯定形で書かれていることが多いですよね。でもこの上から目線の命令形の文章では、「この人、汚すかも…」と疑われていることに変わりありません。
そこで、最近はこんな表記も多くなってきました。
「きれいに使ってくださり、ありがとうございます。」
Upload By 立石美津子
これですと、使う前から「この人はきれいに使う人に違いない」と信用されているようで、「きれいに使おう!」と思います。
まとめ
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10250000532
アスリートだってメンタルトレーニングのとき「平均台から落っこちないように練習する」とか「失敗しないように練習する」とはしません。「絶対に成功する」「絶対に金メダルをとる」と脳に成功イメージの暗示をかけて、実力以上の力を出そうとするそうです。
子育ても「牛乳をこぼさないように運んで!」等の「~しないで」の否定形で言うより、「牛乳をゆっくり歩いて運ぼう」の肯定的な言葉のほうがより伝わりやすくなります。
たとえば、公共の場所で走ってしまう子どもに「走るな!」と伝えても、とっさに理解しにくく、子どもはどうすれば良いかわかりません。それだけでなく、嫌な気持ちや言われたことを拒みたくなる気持ちが生まれます。
しかし、「歩こう」と肯定的な言葉を伝えれば、どうすればいいのか具体的にわかるので、行動に移しやすいだけでなく、素直に受け入れたくなります。
よく考えてみると大人だって「靴のまま入らないで!」とか「土足厳禁!」と貼り紙がしてあるよりも、「靴を脱いでお入り下さい」と書かれていた方がわかりやすく、また気分よく従うことができますよね。
親子だけでなく夫婦、上司と部下の場合も同じです。
夫が妻に「部屋が汚くするな!」と言うよりも「もっと掃除をしてほしい」と伝える。上司が部下に「遅刻するな!」と言うよりも「9時には必ず出社するように」と言ったほうが、相手にも伝わりやすいです。
人間関係を良好に保つためにも言葉のかけ方って大事ですよね。子どもだって例外ではありません。言葉のかけ方一つで、今まで苦戦してきたことが解決するかもしれませんよ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4799105566
立石 美津子(著)すばる舎『立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方』