子育て情報『吃音は「しゃべりにくさ」だけの問題じゃない?『どもる体』著者、伊藤亜紗さんのトークイベントをレポート』

2018年6月21日 11:00

吃音は「しゃべりにくさ」だけの問題じゃない?『どもる体』著者、伊藤亜紗さんのトークイベントをレポート

「連発」を避けようとする"対処"が最初の音が出てこない「難発」を誘い、その後、出てこない言葉を別の言葉に置き換える「言い換え」を習得する人も少なくないそうです。こうした過程が、幼少期には20人に1人と言われる吃音が成人では100人に1人まで少なくなる要因ではないかと考えられます。

しかし、「言い換え」は工夫であって表面的に流暢に話すことができているだけに過ぎません。言葉を常に探していたり、「この言葉は言えないからこれにする」というパターンを追っている状態で、体の中はどもり続けているのです。さらに、言い換えによって生じる「本当に言いたいことを言えない自分」を受け入れられる人と、そうでない人に分かれます。

伊藤さんがインタビューした当事者の中には、言い換えをやめ、再び連発になってでも「本当の自分」を取り戻した、と語る人もいました。

言葉の問題と思われがちな吃音ですが、その根っこは、もっと深いところにあるようです。


「そのしゃべりやすさの理由は?」──和やかに議論が飛び交ったゼミ

後半はゼミ形式で参加者が議論しました。
参加者に配られた紙には、次のような質問が並んでいました。

Q以下のそれぞれの選択肢のうち、どの状況がいちばんしゃべりやすいですか。
また、なぜそう感じるのか、理由も教えてください。
[1]指名されて発言/指名なしで発言
[2]台本あり/台本なし
[3]対面/電話/スカイプ
[4]30人の前で話す/1台のカメラに向けて話す
[5]開会のあいさつ/演劇
[6]パワポでプレゼン/アバターで実況中継

みなさん、自分の「しゃべる」ことについて真剣に考えていました。そして、伊藤さんによるゼミが開始。それぞれの設問で当てはまる回答に参加者が手を挙げ、伊藤さんが「それはなぜ?」と質問していきます。

[1]で「指名なし」を選んだ男性は「指名されて発言するときは『ストライクを投げないといけない』感じ。指名なしだとみんなで一斉にやる『玉入れ』みたいな。
外れても構わない感覚がある」と例えていました。

[3]でスカイプ派だという女性は「まずいことがあっても何か飛んでくることがない。テレビみたいな遠い世界を見ている感じ」と話していました。

「声」は目に見える形としては存在しません。一人ひとりの中に感覚としてあるしゃべりやすさの条件がとてもユニークに語られていきました。

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