子育て情報『医療少年院の職員と少年がASDのある人の知覚世界をVR体験――知的障害や発達障害がある少年たちの支援での配慮を考えるワークショップを開催』

2019年12月27日 10:00

医療少年院の職員と少年がASDのある人の知覚世界をVR体験――知的障害や発達障害がある少年たちの支援での配慮を考えるワークショップを開催

その一部を次に紹介します。

Q.(自分は大きな声を出すのに)他の人の声は嫌と言う場合がある。なぜでしょうか?

A.自分の声は予測できますが、他人の声は予測できません。ASDがある人にとって、予測ができないものは不安を感じやすいので、周りの声や物音が我慢できないとき、自分が大声で叫ぶことで相対的にまわりの音を小さく、予測しやすい自分の声だけが聞こえるようにしているのかもしれません。

Q.過敏さは本人の心構えではどうにもならないのでしょうか?

A.何度も経験をして慣れることで、周囲の環境が予測できるようになり、自分なりの対処法が分かってくることもありますが、外的な刺激は基本的に予測することは難しいので、心構えだけでは対応できないこともあるでしょう。ノイズキャンセリングのヘッドフォンやサングラス、蛍光灯ではなくLED照明にするなど環境を整えてあげることも大切です。

Q.感情のたかぶりは、知覚の過敏さに影響するのですか?

A.科学的データとしては取っていませんが、当事者へのヒアリング等から、疲れたときなどは過敏さが増すと考えられます。また、脳が興奮しているとき、脳の活動がたかまっているときには過敏症状も起こりやすいのではないかと考えています。


Q.自閉傾向が強かったり、知的障害が重いほど感覚過敏も強いのでしょうか?

A.自閉傾向と感覚過敏の大きさの相関関係は見つけられていません。視覚過敏・聴覚過敏は個人差が大きく、自閉傾向がない人であっても過敏性がある場合もあります。見え方とIQの相関関係は現在のところ分かっていません。
Q.自閉症(ASD)がある人は瞳孔の開閉スピードが遅いということだったが、時間をかければ最終的に瞳孔の開き具合は通常の範囲になるのですか。

A.調整に時間がかかるだけでなく、通常10-5の範囲での絞りが可能だとした場合、10-8までしか調整ができないという人もいます。調整能力が弱い人の場合、いつまでも眩しく感じることはありえます。

Q.少年たちの中には「ものが歪んで見える」という者もいます。先生の実験の中に、歪んで見えるという例はありませんでしたか?

A.私たちの実験ではありませんでしたが、統合失調症に関する他の研究で、実際に存在しないものが見えるという発表もあります。
脳は、環境から入ってくる信号を単純に受け入れるだけでなく予測して見ていますが、この予測がものすごく強くなってしまうと幻覚のようなものが生じます。

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