空気を読むって?
広汎性発達障害の娘(小学3年生)には、コミュニケーションが苦手という特性があります。
小さいころは人との関わり方がよく分からず、相手の言葉を聞かず、会話が一方通行だったり、自分だけが理解している謎の文章を話したりしていました。
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定期的な言語訓練や日々の療育で、少しずつ人との関わり方を学んでいき、今では会話もスムーズになった娘ですが、いまだに苦手なことがあります。
それは「空気を読む」ということ。その場の雰囲気から、自分が何をすべきか…すべきではないか…相手がしてほしくないことや、望んでいることを察することです。
謝って許されたら、それでいいと思ってしまう娘。
たとえば、パパに叱られたとき…
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いいよと言われた直後に、ケロッとして「ゲームしてもいい?」と言ってしまいます。
こういった場合、きちんと謝られたらもちろん相手は「いいよ」と許すけれど、大事なものを落とされたことが嫌だったという気持ちはすぐにゼロになる訳ではありません。表情や相手の雰囲気からそれが読み取れていれば、申し訳なさそうな顔をしたり…少し時間を空けてから話しかけたりします。
でも娘にとっては、
「いいよって許してもらったから、もう終わりでしょ?」ということなのでしょう。
空気を読む意味も、理屈もよく分からないのかもしれません。
娘の特性を知っている私たちが相手なら、ある程度は容認できます。しかし、学校で友だちと同じような状況になったとき、相手の嫌な気持ちは倍増してしまうかもしれません。
「空気を読む」というのは、私自身誰から習った訳でもありません。
経験から少しずつ学び、あ…今のはまずかったかな…と感じたり、人の行動を見ながら状況を判断していくものです。娘も経験する中で少しずつ学んでいくだろうと思いながら見守っているとき、私はあることを思い出しました。
思い出した、ある新入社員のこと…
それは、私が社会人3年目の時のこと…。4月、新入社員の入社初日。その年に入社したばかりの事務の女性社員が2人、定時を知らせる5時半のチャイムが鳴った瞬間立ち上がり、荷物を持って更衣室に向かっていったのです。その日は業務が立て込んでいて、周りにはまだ忙しそうに仕事をしている先輩たちがいます。
一瞬何が起きたか分からず、その場にいた同僚に
「え?どこいったのかな?…まさか黙って帰ったわけじゃないよね?」