子育て情報『「自分は一体、何者?」幼い頃から抱いた疑問。ASD当事者の「物語」が道を開いてくれたーー研究者・綾屋紗月さんインタビュー・前編【連載】すてきなミドルエイジを目指して』

2020年10月28日 08:00

「自分は一体、何者?」幼い頃から抱いた疑問。ASD当事者の「物語」が道を開いてくれたーー研究者・綾屋紗月さんインタビュー・前編【連載】すてきなミドルエイジを目指して

と言ったら「ダメ」と言われるけど、他の子が言うと「いいよ」と言われる。他方で、何も言わなくても自然と一緒に遊び始める子もいて。どうしたらあんな風に加われるのかがわかりませんでした。

先生の指示に従うのも難しかったですね。手順が明確でない説明がだらだらと続くと、まず何から始めればいいのか、具体的な行動が把握できないし、そもそも園内では音がすごく反響しているようにわたしには聞こえていたので、聞き取るのがとても難しくて。わからないから質問をすると、「さっき言ったでしょ」「ちゃんと聞いていなさい!」と怒られてしまいました。

――ちゃんと聞いていたにもかかわらず、そのように怒られてしまうのはつらいですね……。小学生になって、変化はありましたか?

綾屋:小学校に入って過ごす校舎が変わっても、音がワンワンと反響して聞き取りづらいのは続きました。
人との関わり方については、成長するにつれてだんだんわかるようになるだろうと予想していたので、ますますわからなくなったのにはちょっと驚きましたね。

「もしかすると、いじめだったのかな?」と思うようなこともあったのですが、嫌なことをされたら反撃したりもしていたので、ある意味ではやり過ごせていました。集団のルールのようなものがあるらしいことや、自分がそのルールを理解していないので仲間はずれにされているようだ、ということは感じていましたが、わたし以外にもいろいろな人が順に仲間はずれの対象になるのが見えていたので、そんなに気にすることでもないのかなとも思っていましたね。

――綾屋さんはその後、中学受験をして私立の女子校に進学されたんですよね。

綾屋:はい、中高大一貫でエスカレーター式の私立女子校に入りました。いじめのようなものをさほど気にしていなかったとはいえ、「自分には友達ができないなぁ」ということを気にしてはいたんですよ。そんなときに、親が「勉強ができる子たちのところに行けば、お友達ができるかもしれないよ」と中学受験の話をしてきたので、そんなものかなあと信じて近くの私立を受験し、進学しました。


「自分は一体どうなっているんだろう」という疑問

――中学に入って、人との関係に変化はありましたか?

綾屋:わからなさは、むしろ増しましたね。
小学校の頃とは違い、やり返したら大変なことになりそうだと感じたので、攻撃されないようになるべく無難に動くようにしていましたが、孤立していました。

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