2021年3月19日 08:00
自閉症スペクトラムのわが子との平穏な生活に訪れた変化、そのとき父親がくだした決断は?イスラエル映画『旅⽴つ息⼦へ』が公開
目を離したすきにどこかへ行ってしまったウリを必死に探すアハロン。ようやく見つけたとき、ウリがいた場所は…。
ウリの年相応の成長、楽しみ、興味に。それは父親とともに過ごしたのでは得られない、ウリに秘められた可能性なのかもしれないと。
「自分の人生を生きているのか」という問い
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そしてまた、訪れる人との会話を通して、私たちは父親の人生についてもまた、深く考えさせられる機会を持ちます。
今は職なし、一文無しで、妻に養ってもらっているアハロンですが、実は第一線で活躍する優れた才能の持ち主だったこと。息子のために輝かしいキャリアを捨てて、息子のためだけに生きてきたこと。
でも本当に息子のためだけにキャリアを捨てたのか。
自分の人生をかけて育ててきた息子だから、自らのエゴのために手放せないのではないか。
父は息子に依存し、また息子も父に依存しているのではないか。
その問いもまた、観る人の胸に刺さるのです。
親はいつか、子どもを手放さなくてはいけません。そして子どもは親元を離れていかなくてはいけない。そんなとき、どこで、だれと暮らせるなら、我が子は幸せなのだろう。親の愛以上に子どもの力となるものとは、なんだろう。
今は、毎日のことに必死かもしれません。
でもいつか来る巣立ちの日のために、親自身も自分の人生を生きるという事、そして子どもには子どもの道があるということを忘れてはいけない。この映画は、あたたかく私たちを包みながら、そんなことを教えてくれるのではないでしょうか。
『旅立つ息子へ』上映情報
映画『旅立つ息子へ』は、3月26日(金)TOHOシネマズ シャンテをはじめ、全国公開。
公開日:2021年3月26日(金)
上映館:TOHOシネマズ シャンテ他、全国公開
イラスト:かなしろにゃんこ
2021年3月14日に、公開を記念してオンライン座談会を行いました。その様子がアーカイブでもご視聴いただけます。
発達ナビユーザーにもご協力いただいた、障害がある子どもの自立や、保護者自身のキャリアについてのアンケート結果をひきながら、つながりたい支援や、これからの社会に願うことまで話しました。
座談会登壇者
牟田暁子(LITALICO発達ナビ編集長)https://h-navi.jp/
田中康雄(北海道大学名誉教授/児童精神科医)