2021年9月2日 06:15
成長してる、でもコミュニケーション問題多発…!ASD息子が「人の気持ちを分かる」ようになるためには?【児童精神科医 三木先生に聞いてみた!】
と言うアプローチができるようになるためには、段階があります。
まず何が必要かというと、“相手が言ったことを字面通りに受け止めて、きちっとした場所に打ち返す”ということです。それができていない段階で、「気持ちを知りましょう」と言っても、相手の気持ちを理解しないまま、本人が勝手に相手の気持ちを想像して考えた主観的な返しになってしまうので。
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―――その通りだと思います。1年生のときは友達にも突っ込まれるくらい何でも文字通りに受け止めるコウでしたが、その後周囲が成長して、文字通りではなく言葉の後ろに意味が込められているような会話や、会話の中であえて言ったり言わなかったりするような会話をするようになると、コウもそれを中途半端に取り込み始めました。
周りと同じように「自分のする会話から、相手に意図を汲み取ってもらう」ことを試みようとしてもうまくいかずに「嘘つき」と言われたり、事実を述べていても人の心を引きつけられなかったりと上手くいかずに「何で自分だけ!」となっていました。先生がおっしゃったようなコミュニケーションの段階を数年かけてやってきた感じです。
三木先生:なるほど。
”見聞きしたパーツを、そのまま取り込めてしまったがゆえに起きた”トラブルですね。
学校生活の中でみんなが学んでいる「気持ちを知りましょう」を今のコウがそのまま取り入れるとチグハグなことになってしまいますが、その「気持ちを知りましょう」自体は間違ったことではありません。コウが学校で覚えた誤学習の中には”覚えた内容そのものは間違っていない”ものも多くあります。
それらのように学校でどうしても覚えてしまう「望ましくない学習」に対してどうしたらいいのか、三木先生に伺いました。
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三木先生:最初に学習内容の基本をカチっと入れちゃってもいいと思います。あとはニュアンス調整でやっていければ。いわゆる「ちゃんと教えてくれる人」を求めていくとカウンセラーとかに頼るしかなくなってくると思うのですが、本来思春期の子は、そういう人から学ぶことは少ないですよね。例えば友達とか先輩とか、顧問とか。
支援も探しつつ、本人の生活上のコミュニティーや人とのネットワークとかをどうやって充実させていくかみたいなところに重点を置いてもいいと思います。
――そのつながりをコウが自力で作るのは難しいかもしれません。