子育て情報『園・学校に行きたくない!夏休み明けの子どものSOS。親だからわかること、できないこと、対応方法もーー精神科医・田中康雄先生』

2021年9月19日 14:15

園・学校に行きたくない!夏休み明けの子どものSOS。親だからわかること、できないこと、対応方法もーー精神科医・田中康雄先生


親の悩み

それでも親は、SOSとわかっていても、乗り越えてほしいという思いもあります。子どもが歩む道で、大きく躓かせたくないという思いから、SOSに目をつぶり、それに屈せずに強くなってほしいと願うものです。

先の公認の休暇を僕が提案したとき、一番親が「あー、いっちゃった。これで堂々と休んでしまう。困った」と思われているかもしれません。だから「最初の2日は黙ってみていたのですが、3日目にお医者さんはああいったけど、そろそろ行ってみない?と確認してしまいました。案の定、症状が強くなりました」と、わかっているけど、焦ってしまうものです。

そこで、僕は、どうして、そこを乗り越えることが難しいのかについて、親と一緒に考えていくことをします。
すると、以前から実はこういったことが苦手、あれが苦手というエピソードを教えてもらうことになります。

横断的な理解が主だった僕に、縦断的な情報が加わり、さらに僕たちはこの子理解を深めることができるのです。

SOSはヘルプサインと同時に、その子に近づくチャンスをくれるものでもあるのです。「そんなふうに考えているんですね」、「子どもだと思っていたけど、ちゃんと考えていることがわかり、ちょっと安心っていうか、すごい子だったんだと思いました」と感想を述べる親もいます。

目の前のことだけでなく、その子の思いに近づけたことは、ある意味親にとって喜びでもあります。

それも一瞬で、やはりしばらくすると「そろそろ登校(登園)しないと、これから先が心配で」、「いつまで待てばよいでしょうか」と、当然の悩みと焦りが再び登場します。

親であることの大変さ、悩み、痛みは、そうそう簡単には消えないということも、重々承知しているのですが、ゴールが見えないことの不安は、当然僕にもあります。僕も次の一歩を先走りして、子どもから「先生も同じ大人なんですね」というような目で見透かされるときが幾度もあります。



生きる上での悩み

時に、単に学校とか園とかの生活空間に対してではなく、「生きるって、生き続けるって、辛いな、苦しいな」と感じてしまう子もいます。具体的に表出するのは思春期前後でしょうが、実際はかなり小さい年齢から、苦しさを抱えているようです。この場合は、当然休んだところで症状は消えません。

このときは、その子が向き合う3つ(学習、友人、担当者)への向き合い方でなく、ずっと抱え込んでいた、自身にある違和感、日々の生活に対するなじみにくさ、が表面化したわけですから、根源的な危機感を、よくSOSとして出してくれたことを内心感謝しつつ、こちらも焦らず、一緒に迷いの森を歩み続けようとします。

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