2023年6月6日 06:15
「空気を読む」って何?ASDの私、日本語教師の勉強で「コミュニケーションでの違和感」を一歩脱せた理由
すると、あれは社会的語用だったんだ!と気づくものがいくつもありました。
例えば、上記の例にあった「お茶が入りました」。周囲がそういう言い方をするから私も自然にこういう表現を使ってはいたものの、「文法的に考えるとなんだかお茶が勝手に意志を持って入ったみたいな感じでおかしいなあ、どうしてだろう」と、言語化はできないまでもずっと引っかかっていたのです。
日本人はこういった何気ない表現の中でも、相手との社会的関係を配慮した物言いをしているのですね。
給湯器も、「お風呂が沸きました」って言いますよね。あれ、中身は日本人だなって思いました(笑)
英語やフランス語でも「行間を読む」?
でもね、同じような社会的語用、よく考えたら英語でもするんですよね。
Dinner is ready!(夕飯ができました)
Tea is ready!(お茶ができました)
ここで I made tea (私がお茶を入れました)とかは言わないわけです。
その他、私は大学時代アメリカに短期留学したとき、誰かを何かに誘うか何かしたときに maybe next time(またこんどね)って言われたんです。
そうか、また今度誘えばいいのか、と思ってしばらくあけて再度誘ったら、すごく困惑した顔をされました。
欧米はいわゆる空気を読まなくていい、なんでもオープンに意思表示しあう文化だと思っていたので、それから20年来謎だったのですが、先日、アメリカ帰国子女と日本人がやっているインターネット動画で、アメリカでも婉曲に断ることあるよ!と言っていて、「あれは断られてたんだ!」と初めて気づきました(笑)
フランスでも「行間を読む」ことはあるようです。フランス人ASD女性のコミックエッセイの中に、会社の同僚に「あの資料持ってる?」と訊かれて「持ってるよ」と答えたら同僚は「ええっと、その資料を貸してくれる…まったくもう!」と怒ってしまったというシーンがあったので、これにも驚きました。
空気・行間を読むことが多い、よりハイレベルな社会的語用が要求される文化を「高コンテクスト文化」といい、日本が代表です。その反対で、なんでもはっきり言葉にすることが多く、直接的なコミュニケーションをする文化が「低コンテクスト文化」で、ドイツが代表と言われています。ドイツのコミュニケーションに婉曲な表現があるかは見聞きしたことがないのでわかりませんが、欧米が日本よりも低コンテクストだからといって、日本のような高コンテクスト・婉曲な表現がないわけではないのですね。