脳性麻痺の症状4分類を解説。原因、治療法やリハビリについても/医師監修
体の筋肉が自分の意思とは関係なく動いてしまうこと(不随意運動)が特徴で、筋肉の緊張が突然変わったり、左右の筋肉で緊張度が違ったりするため、姿勢を保つのが難しくなります。心理状態により、筋肉の緊張度合いが高くなります。知的障害はあまりみられませんが、言葉をはっきり話すのが難しいことがよくあります。
筋肉が適度な緊張状態を保てないことを低緊張といいます。低緊張があると、首や腰の座りや立つ、歩くなど運動発達に遅れがみられます。筋肉の緊張度をコントロールする、脳の神経に関わる部分が、なんらかの原因で傷ついたことで起こると考えられています。
肩や肘などの関節や、股関節まわりの筋肉の緊張も弱いため、腕を持って起こそうとしたり、無理に立たせたりしようすると、脱臼してしまうことがあるので、注意が必要です。
小脳、または小脳に通じる神経の通り道が傷つくことで生じるタイプで、四肢麻痺や震えがあります。
正常な筋緊張と低緊張をくり返すため体のバランスがとりにくく、歩けるようになっても転びやすいという特徴もあります。
そのほか、これらのタイプのいくつかが組み合わさった混合型もあります。混合型でもっとも多いのは、アテトーゼ型と痙直型の組み合わせです。
脳性麻痺の治療や合併症について
傷ついた脳の部分を修復する薬や手術は、今のところありません。そのため、脳性麻痺を完治させることはできないといわれています。
しかし、脳はさまざまな神経細胞が複雑に絡み合い、互いに影響しあって働いています。そのため脳の傷ついた部分は、傷ついていないほかの部分がカバーすることで、いろいろなことができるようになる可能性があります。
そのために大切なのが、リハビリや療育です。
専門機関と連携しながらリハビリを行うことで、運動や言語などの能力を高めることができます。
リハビリには、PT、OT、STの3種類があります。
・PT=理学療法
生活するうえでの基本的な運動能力を回復、維持するために行います。前述しましたが、脳性麻痺は基本的に運動麻痺の障害なので、PTは必須です。
脳性麻痺があると、手足をはじめとした体の部位をうまく動かすことができません。無理やり動かしたりすると、関節や筋肉が傷つくことがあるので注意が必要です。PTでは、正しい体の使い方を介助しながら実行し、粗大運動の改善、関節の動きの制限がこないように予防していきます。