2023年11月23日 12:15
「日常がうまくいかない」正反対なのに似ている2人――SNSで話題沸騰!『君と宇宙を歩くために』1巻発売記念!泥ノ田犬彦先生インタビュー
泥ノ田先生: 元々サスペンスを描こうかなと思っていたのですが、担当さんから「感動する話ではなくてもいいので、人の心が動くお話を描くことはできますか?」というオーダーを受けました。自分の中の「心が動く」とはなんだろう?と考えた時にできたのが宇野と小林のキャラクターでした。
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宇野は明るくて努力家で、自分の「できない」を解決する方法を駆使して自立した生活をしようとしています。空気を読むのが苦手なためいつも少し笑っているのですが、一方で高校2年生として年齢相応のプライドも持っており、からかわれて傷ついたり凹むこともあります。そんな宇野に興味を持ち影響を受けていくキャラクターが小林です。
小林は体が大きくビジュアルも派手で、一見近寄りがたくて不機嫌そうな雰囲気を醸し出していますが、内面はナイーブで自分の「できない」を認めることをダサい・怖いと感じており直視することを避けています。
1話の中で最初に浮かんだのは、自分の苦手を認め工夫をしながらも頑張る宇野の姿と、そんな宇野に感化され努力を始める小林のシーン。それに付け加える感じで、小林の友達の朔が宇野に感化された小林を茶化した際に「ダサくていいんだそれでそのあと良くなるなら」と告げるシーンでした。
“自分の大きさを認めて一歩踏み出す瞬間”が描きたかったんだと思います。そのきっかけになる出来事や結果が世間から見てどれだけ小さなことでも、「やるぜ!」と決める時の心の動きは偉大な一歩だなあと考えています。
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片方が完璧なタイプのストーリーにしても良かったのですが、どちらも同じような悩みを持っている人同士がお互いに相手を「すごい」「かっこいい」とリスペクトし合えるのってすごく素敵なことではないかと思い、この設定になりました。
絶対に描きたかった「でも僕は宇宙を歩きたい!」
――1巻の中でこれを描きたかったというシーンやセリフを教えていただけますか?
泥ノ田先生: 宇野「でも僕は宇宙を歩きたい!」と小林「宇野だってそれ乗り越えてきてんだろ」「じゃあ泣くのは今じゃねえよな」のあたりは絶対描きたかったです。2人にそれぞれ希望とプライドがあることを分かってもらえたらいいなと思って描きました。宇野のセリフは、最初「まっすぐ歩きたい」とか「楽しく歩きたい」とかと迷っていたんですが、別にまっすぐじゃなくても楽しくなくても歩いていいよなと思い、出版社の担当さんとも相談してその部分は削りました。