【精神科医・本田秀夫】これって発達障害?過集中なのに気が散りやすい…分かりづらい特性の重複と強弱とは【マンガで分かる】
などいくつかの特性がまじりあっているタイプになるため、一概にASD(自閉スペクトラム症)である、ADHD(注意欠如多動症)であると診断されるとは限らないのです。
発達障害には「重複」や「強弱」がある
発達障害のようではあるけれど、どの障害とも言い切れない……、はっきり答えが出ていない解説に驚いたり、釈然としない思いを抱かれた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、これが発達障害の実際の姿です。
この男の子の例のように、発達の特性に「重複」や「強弱」があることは、発達障害を理解する上でとても重要なのです。
私は、発達障害がある人のことを「~ができない」と考えるのではなく「~よりも~をする」という「選好性」を持っている人だととらえています。例えば「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」、「対人関係よりも自分のこだわりを優先する」、「じっとしていることは苦手だが、思い立ったらすぐに行動に移せる」といったものです。その優先するものが少数派なため、発達障害の人たちは周囲から理解されづらく、生きづらさを感じているのです。
発達障害は、けっして特別なものではありません。
発達の特性は、いわゆる「ふつう」と地続きのものです。
いまは特に困難を感じることなく生活している人の中にも、発達障害の特性がある人はいます。もし特性に当てはまる部分があったという人は、生活をしていて困ることがでてくる前に、自分の特性、自分のやりたいことを理解すること、そして生活環境の調整に取り組んでいただければと思います。
マンガ/吉田いらこ
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)