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3歳から自閉症は診断される?特徴や健診でのチェックリストなど【小児科医監修】

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ASD(自閉スペクトラム症)とは?


ASD(自閉スペクトラム症)とは
・対人関係や社会的コミュニケーションの困難
・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ
などの特性が幼少期に現れる発達障害の一つです。知的障害を伴うこともあり、日常生活の中で困難を感じることも多くあります。

ASD(自閉スペクトラム症)は、生まれつき脳内の情報処理の仕方に障害があるために発症すると考えられていますが、その原因はまだよく分かっていません。遺伝的要因をはじめとした、さまざまな要素が複雑に関与していると考えられていますが、発症するまでのメカニズムはいまだに不明とされています。

3歳になると、保育園・幼稚園などで他者と過ごす時間も増えてくるため、人との関わりや集団生活の中で困難や問題などに気づくことも多くなってきます。

3歳頃にみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては
・言葉の遅れ(コミュニケーションが苦手)
・独特な興味や行動パターン
・光や音、触れられることなどへの感覚過敏
・急な予定変更などに対応できない(癇癪を起こすなど)
・集団生活が苦手(じっとしていられない、先生の指示が通らないなど)
などが挙げられます。詳しくは第3章で紹介しますが、3歳児健診において指摘・診断されるケースも増えます。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/07/dl/s0730-6a1.pdf
参考:自閉症Q&A|厚生労働省

3歳児の発達の目安って?


定型発達児における、3歳児の発達の目安としては、

・基本的な運動機能が伸び、それに伴い食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる
・話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興味や関心が高まる
・自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが多くなる(実際には、同じ遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであることが多い)
・大人の行動や日常生活において経験したことを「ごっこ遊び」に取り入れ、象徴機能(見立て)や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性がみられるようになる
・予想や意図、期待を持って行動できるようになる

などが挙げられ、情緒面・社会面でぐっと成長する時期ともいえます。
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12895174/www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04b_0001.pdf
参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省

ASD(自閉スペクトラム症)と診断されるのは3歳児から?言葉が遅い、集団生活が苦手……違和感や気になるサイン


園生活がスタートしている子どもも多いため、集団生活の中で
・社会性(集団行動ができない、指示が聞けない、友達と遊べない)
・感覚過敏(大きい音が苦手、砂場、裸足などが苦手)
・常同行動(同じ行動を繰り返す)
などのトラブルが起きやすい傾向にあります。

また、家庭内の困り事として
・こだわりが強く、気持ちの切り替えが苦手
・感覚過敏、鈍麻、こだわりなどでトイレトレーニングが進まない
・園への行き渋り
・言葉の遅さあるいは言葉は出ているが、会話がスムーズにできない。聞かれたことに答えにくい
などといった場面がみられることが多いと言われています。

3歳児健診では、「PARS-TR」「SDQ」などでASD(自閉スペクトラム症)のスクリーニングチェックを行う場合があります。

「PARS-TR」はASD(自閉スペクトラム症)の傾向を知るための検査で、こだわり行動や遊びや言語の発達など、12項目について保護者から聞き取ります。0点・1点・2点の3段階で評定し、合計得点からASD傾向の強さを導き出し、今後の有効なフォローに繋げていくものです。

「SDQ」は、行為面・多動性・情緒面・仲間関係・向社会性の5項目の質問から、子どもの適応と精神的健康の状態を包括的に把握するためのものです。そこからさらに詳しい検査が必要な場合は、問診や行動観察、「新版K式発達検査」「遠城寺式乳幼児分析的発達診断検査」などの発達検査、知能検査、場合によっては脳波検査などを行い、診断されます。


https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000307929.pdf
参考:効果的な巡回相談支援のための基本と実践|厚生労働省

3歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状

3歳から自閉症は診断される?特徴や健診でのチェックリストなど【小児科医監修】
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※発達や成長に加え症状や特徴には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。

受診の目安や、療育への手続き、保護者ができることなど


集団行動も増えるため、気になる言動が目立つ時期ともいえます。保護者や先生から見て、生活するうえでの困難さや気になる行動があった場合は、早めに相談・受診しましょう。

市区町村の保健師・保健センターなどに相談してみましょう。また児童精神科、自治体や民間の子育て支援窓口、療育機関などでも相談は可能です。園に通い始める子どもも多いので、先生に園生活の様子やどこで相談できるかを聞いてみてもいいでしょう。

3歳児健診時や集団生活が始まり、先生からの指摘や紹介で療育に通うことを考え始める保護者も多いのではないでしょうか。
子どもの発達には個人差があるため、何歳で必ずこの特性が出る、というものではありませんが、早い段階で気づけばその子どもに合った療育を早期にスタートすることができます。

療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。

療育(発達支援)には、自治体などの管轄の公的機関で行うもののほかに、民間の施設などで行うものがあります。大学病院など一部の医療機関ではOT(作業療法)やST(言語療法)などを行っている場合もあります。

自治体のほか、民間の施設の中にも公費で受けられる発達支援を提供しているところがあります。この支援は「通所受給者証」(※)を所持していると利用でき、利用料金の助成を受けることができます(基本的に1割負担となりますが、満3歳になって初めての4月1日から3年間は無償となります。また、家庭によって上限額が異なります)。

療育では子どもにだけでなく、保護者にも日頃どのような対応や声掛けをすれば良いのかも教えてくれます。

療育は子ども自身の生活QOLやスキルを上げるだけでなく、日常生活における親子で抱える困難やストレスを軽減することにも繋がります。

※福祉サービス等を利用するために発行される証明書のこと。自治体に申請して、審査のうえ発行される。日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されている。

https://doi.org/10.34572/jcbd.11.1_3
参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/jiritsushien_project/seika/research_09/dl/result/01-03a.pdf
参考:共に歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省

ASD(自閉スペクトラム症)にとって、早期発見、早期療育はとても重要です。社会面・情緒面で大きく伸びる3歳前後で早期介入・支援をスタートすると、社会的なスキルやコミュニケーション能力が向上する場合もあります。

成長や発達に個人差はありますが、保護者だけでなく子どもに関わる人からの情報をもとに、相談や受診につなげることが大切です。

(監修:新美先生より)
園での集団生活が始まる3歳児では、保護者も周りと比べて焦ってしまうことが増えるかもしれません。
ですが、3歳ごろのお子さんにとって大事なことは、不安に圧倒されたりストレスを感じすぎずに、自分なりの好奇心を満たして楽しく日々を過ごせるかだと思います。興味がほかの子と少し違っていたり、ほかの子はストレスに感じないことがストレスになるのだとしたら、お子さんのタイプをよく見極めてお子さんに適した育て方をするために、療育という場を上手に使っていけるといいかもしれません。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。
論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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