子どもの声に徹底的に耳を傾け未来をつくる。前例が無いからこそやってみる精神の、宮城県の新しい教育
市町村と一緒に汗をかきながら、課題も解決策も現場にあると思うので、現場に通って私たちの考えとミスマッチが起きていないかを検証し、常にアップデートしながら、一歩一歩努力を積み重ねていきたいと思っています。
思わないと実現しないのでまず思うことが大事で、それが全ての第一歩かなと思いながらやっています。
民間企業のサポートも取り入れる
ーーLITALICOは、開かれた教育を進められている宮城県と約1年前に連携を開始しました。その連携のきっかけとなった佐々木様(現宮城教育大学副学長、元宮城県教育委員会副教育長)にもお話をお伺いします。佐々木様の教育の原点にある考え方について教えてください。
以前、海外で障害のあるお子さんのリハビリのお手伝いや、親がいない子どもたちが集まる乳児院でボランティアをした時期があります。その時に、ある8歳ぐらいの男の子と接する機会がありました。言葉も通じない中で、折り紙を教えながらやり取りをしていくうちに少しずつ笑顔も増えて気持ちが通じるようになったことがあって。
この子たちを救うのは、「教育」だと思いました。子どもたちの幸せにつなげることが教育の役割だと思っていますが、その時改めて教育に携わりたいと強く感じたことが、今の私にとって一番のベースとなっています。
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ーーそんな経験が、今どのように教育に落とし込まれているのでしょうか。
例えば宮城県では、「学び支援教室支援事業」というものを立ち上げています。学校に登校していない子どもたちが自分の意思で学校に戻って来たいと思ってもなかなか通常学級の教室はハードルが高いですよね。だから、別に教室を一室用意していつでも登校できるようにしたり、不登校を未然に防ぐために教室で居心地の悪さを感じている子どもたちの居場所をつくったりする取り組みです。
不登校の子であろうと障害が有ろうと無かろうと学校は、子どもたちが幸せになるためのお手伝いができる場所でなければという思いがずっとあるので、この教室はとても大切にしています。
ーーなるほど。学び支援教室支援事業を立ち上げられた際にどのような課題を感じられていたのでしょうか。
先生たちが多忙のために、休みがちのお子さんが別室に登校してもプリントをやってもらうだけとか、それって子どもたちの成長を保証ってできているのかなって感じていました。