私立中に進んだ自閉症息子。往復4時間通学、教室でパニック…それでもウキウキ!?
Upload By 寺島ヒロ
踊るように…学校を回遊するタケル
ある日、学校に用事があり、夫とタケルと一緒に職員室に向かって校舎の脇の道を歩いていた時のことです。
いつもフワフワと歩いているタケルですが、その時はいつもよりご機嫌だったようで、くるりくるりとステップを踏み踊るように歩いていました。
夫「何で踊るの?」
タケル「なんでもないけど踊りたい」
夫は「目のじゃまだ」とやめるように促しましたが、私は「まあまあ、今は人目がないからいいじゃない」「踊りたいときもあるよ」と言いました。
すると、タケルは「え?わたしいつもこんな感じよ?」と、心底意外だという顔で言うではありませんか。
こちらこそ意外過ぎて笑ってしまいました。
ウキウキ♪タケルのスクールライフ
家ではタケルはいろいろな面白いネタを披露して見せてくれていましたが、小学校ではそのようなおふざけは一切見せませんでした。
しかし、中学校では動画サイトなどで仕入れたネタを披露したり、おもしろ実験のようなことをやって友達に見せたりしていたようです。
いつしか中学校はタケルにとって心を許せる場所になっていたのかもしれません。
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自分の体調の変化に振り回されることがありつつも、学校で楽しく過ごすことができたタケル。当時の息子を支えてくれた学校の皆さんには本当に足を向けて寝られません。
私の時間と健康は音を立ててゴリゴリと削れていきましたが、小学校の時のように行き渋りをすることもなく、私が家で勉強を教えることもなくなった(何しろタケルの求めるレベルは高いので予習必須)ので、精神的には楽にはなりました。差し引きでも「楽」がちょっと勝っていたように思います。
思考する余裕もでき、娘が生まれて以来断っていた漫画の仕事を少しずつ再開するようにもなりました。
執筆/寺島ヒロ
(監修:初川先生より)
タケルくんの中学校生活にまつわるエピソードをありがとうございます。
毎朝4時起きでないと遅刻になる生活……本人のみならず家族も含めて負担はかなり大きいと感じましたが、それでも行きたい中学校、受験してまで勝ち取った中学校なんだなということを、その背景を知ることで改めて感じました。
特性ゆえの過敏性やうまくヘルプが出せないことなどから登校できても早退するなど、コンディション調整に苦戦することもあったのですね。