勉強しない、やる気が出ない…思春期の学習、どこまでフォローする?発達障害のある小中学生の家庭学習【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
ほかにも、毎週金曜日ではなく、「第1・第3金曜日はノー勉強デー」のようにするのも「妥協ライン」の一例です。
こういった家庭学習のルールについては、ひとつの「正解」があるわけではありません。保護者としての考えや望みはあると思いますが、それが「絶対」でもないものです。子どもの将来を想うからこその「こうしたほうがいい」という考えはあっても、それにこだわってしまうと、特に思春期はお子さんと衝突してしまうこともあるかもしれません。
また、年齢が上がってくると、どのようなペースで取り組むといいか?をお子さん自身がつかんでいくことも大事だと思います。
例えば、定期テストに向けて2週間前からコツコツ取り組むことは苦手だけれど、直前にスイッチを入れて集中して、それなりに点数を取っているお子さんもいます。集中できない長期間より、短期間でも集中して取り組むことで学習の成果につながることもあるでしょう。
中学生くらいになると、自分でペースをつかんでいくお子さんもいますが、なかなか難しいこともあるでしょう。
本人の様子を見ながら、「こんな風にやってみたらどうかな?」「ちょっとここを変えてみる?」といったように、自分に合う方法を試していくイメージで一緒に考えていくこともいいかもしれませんね。
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子どもがなかなか勉強しない・やる気が出ないときには?
わが子が課題の締め切りやテストの直前に、慌てて少し無理をして勉強している姿を見ると、親としては「コツコツ取り組んでおけば……」と思うのも自然な気持ちだと思います。
ただ大人が「コツコツ取り組んだほうが良い」と分かるのは、これまでの経験あってのことです。お子さんは、どのようなペースで取り組むと良いかを経験から学んでいる最中でもあるのです。
今回ご紹介したような工夫をしてみても、勉強になかなか取り組めないという場合には、課題の難易度や学習環境を今一度見直してみることも大切です。特に各教科について「何がどこまでできているか」「どこにつまずいているか」「どのようなサポートが必要か」は、学校や塾などを頼っていくのもいいでしょう。思春期は特に、ご家庭だけで抱えないこともポイントです。
また背景に読み書きの困難さがある場合があります。
専門機関などに相談し、読み書きの困難さがあることが分かった場合には、書く宿題は少なめにして、タブレットなどで答える割合を増やすというような合理的配慮を検討してもいいかもしれません。