問題解決能力や共感能力を高める「シティズンシップ教育」。広く社会を見るための “3つの眼” とは?
しかし斎藤氏は、「日本と海外ではいじめの傾向に違いが見られる」と述べます。
たとえば、諸外国ではいじめが起こったときに間に入る「仲裁者」となる子どもが多い一方で、日本の場合はいじめを見て見ぬ振りをする「傍観者」となる子どもが多いといいます。また、いじめ問題への対応姿勢として、日本では「被害者救済」という視点が主流である一方で、他の国ではいじめをした “加害者” を繰り返し指導するという対応が中心です。
この対応の根拠となっているのが『シティズンシップ教育』であると言われています。なぜなら、民主主義の社会を支えるためには、暴力などで他者の権利や安全を阻害することがあってはいけない、つまりいじめは社会を支える市民として許されない行為である、という教育が根底にあるからです。
子ども一人ひとりの個性の違いはありますが、社会全体としてのルールやモラルをそれぞれがしっかりと理解し、実践することで社会秩序を守ることにつながります。
「やっていいこと」「絶対にやってはいけないこと」「それはなぜ?」「ルールを守らないと世の中はどうなってしまうの?」……これらは教えなくても自然と身につくものではありませんよね。幼児のときは両親や祖父母など身内の大人が伝えるべきでしょう。
では、学童期に入ったら教える必要はないのでしょうか?いえ、むしろ、より具体的かつ積極的に学ぶべきは、物事への理解が進むこの時期なのです。
***
『シティズンシップ』は、子どもたちがこれから社会に羽ばたいていくうえで、非常に重要で絶対に身につけなければならないものです。しかし、決して難しい問題ではありません。自分の身の周りの物事に目を配り、心を寄せ、真剣に考えて問題解決に向けて行動をする、という社会の一員としての意識を高めることが大切なのです。(参考)
全国社会科教育学会|イギリスで導入された「新しい市民性教育」の理論と方法
シティズンシップ教育推進ネット|シティズンシップ教育とは
同志社大学 学術研究年報2008年|日本におけるシティズンシップ教育の可能性
神奈川県立総合教育センター|「シチズンシップ教育」推進のためのガイドブック
ベネッセ教育情報サイト|日本と海外のいじめ対策を比較必修教科「シティズンシップ教育」とは
【年齢別】人気ドリルからタブレットまで! 「ひとりでできて、夢中になれる」教材まとめ