作文力アップも期待できる! 文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは
「フレームリーディング」という言葉をご存じでしょうか?「文章全体の構造や内容をとらえる力」を育むことを目指した国語の授業スタイルのことです。フレームリーディングによって子どもはどんな力を得ることができるのでしょう。フレームリーディング研究と指導の第一人者である、筑波大学附属小学校の青木伸生先生にお話を聞きました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
文章全体をつかみ、より深く内容を理解する
フレームリーディングとは、文章を細切れにして読むのではなく、文章全体をつかんで深く内容を理解するための手法です。まずは文章のなかにいくつの出来事や具体例が書かれているのかといったことを大雑把につかみ、そのあとで必要に応じて詳しく読んでいく。そのふたつの行為をいったりきたりと繰り返すことで、文章をより深く理解し、最終的には自分の考えを持つことが目的です。では、具体例で示してみましょう。次の文章をご覧ください。
【1】ドングリのからが落ちています。
【2】誰がドングリを食べたのでしょうか。
【3】リスがドングリを食べました。
【4】リスはドングリに穴を開けて中身を食べます。
【5】バナナの皮が落ちています。
【6】誰がバナナを食べたのでしょうか。
【7】サルがバナナを食べました。
【8】サルはバナナの皮をむいて中身を食べます。
まずは全体を読んだあとに、子どもたちには登場した動物を数えさせます。この例ではリスとサルの2種類。そして、出てきた順番も聞きます。なぜなら、小学低学年の国語では「順序」をとらえられるようになることが重要だからです(インタビュー第2回参照)。続いて、どこからどこまでがどの動物の話なのかを聞く。【1】から【4】がリスで、【5】から【8】がサルの話ですね。こうして、話のまとまりを目に見えるかたちで整理してあげるわけです。
次は、リスとサルの話を比べて、「同じところがあるかな?」と聞いてみます。
子どもたちは、「誰が○○を食べたのでしょうか。」が同じだと気づき、それぞれのまとまりのなかで2番目に書かれていること、次の3番目にはその答えが書かれているといったことにも気づきます。そのように、子どもが文章の構造をどんどん発見していくように教員がリードする。こうして、ただ単に動物がものを食べたという話の内容の確認ではなく、文章の構造を子どもたちが自分で発見するという授業内容にしていくわけです。