テレビ、ゲーム、インターネット。メディアとの付き合い方と、身につけたい能力「トランスリテラシー」
大人向けの物語や小説に比べ、子供向けの物語の方が、多角的にメディアミックスが行われるという指摘もなされています。
代表例は『ポケモン』! 現代の子供を取り囲むメディアミックス
かつては「本→映画」ないしは「本→テレビ」といったような比較的一方向のメディア展開が多くありました。ベストセラーになった小説や児童書、絵本などが、ドラマやアニメーションとして動画化されるという形ですね。
たとえば『アルプスの少女ハイジ』という本が先にあり、それがテレビアニメ化される。あるいは、『白雪姫』という有名な物語があり、それがアニメーション映画になる、といった形です。
けれど今の子供達を取り囲んでいるメディア環境は、それよりもかなり複雑で包括的なものです。コンピュータゲームのソフトとして開発された世界観を元に、マンガが描かれ、アニメ化され、さらにノベライズされて小説になったりもします。
『ポケットモンスター』シリーズなどを思い浮かべていただければ良いと思うのですが、単純な「物語の映画化」や「物語のゲーム化」ではありませんよね。
それぞれのストーリーラインが緩やかにつながりながらも、同じ現象を異なるメディアから異なる視点で見ているのです。
ごく小さい頃からテレビのアニメで親しんだ登場人物が、絵本の主人公にもなっているかもしれません。夏休みには、その主人公が活躍する映画を見に行くこともあるでしょう。同じ登場人物が出てくるゲームもねだるかもしれませんね。
まさに、一つの物語を多角的に理解するためのヒントがそこには多くあります。映画や動画、テレビにゲーム、そして本。それぞれの媒体には、どんな違いがあるのか。ちょっと目を向けるだけで、様々な媒体の性質の違いについて、新たな気づきを得やすくもなっているのです。
実は1990年代からの日本のポケモンシリーズを、レイノルズ教授はメディアミックスの重要な例としてあげています。日本の子供達はある意味、様々なメディアを行ったり来たりしながらの情報収集方法を、学びやすい環境にいるのかもしれませんね。
多様なメディアに触れ、その特性を子供と一緒に考えよう
どんどん変化していく、子供達をめぐる情報環境。不安を感じるのは、ある意味当然のことでもありますが、同時にこれは大きなチャンスでもあるのかもしれません。
縦横無尽に広がるメディアの全てを十把一絡げに取り扱うのではなく、様々なメディアの特性を子供達と一緒に考えていくこと。