遺伝子か環境か。子どもの “学力と運動能力” はどちらで決まる?――「行動遺伝学」の答え
また、読み聞かせをした子の問題解決力は高くなったり、無理に何かをさせず自由にさせていた子のほうが、知的能力が高くなるという結果も出ているのだそう。このように、親御さんの接し方や育て方によって、同じ遺伝的要素でも出方が違ってくるのです。
最近では、『林先生が驚く初耳学!』(TBS系)の番組内で、文部科学省が発表したデータをもとに、父親の学歴よりも母親の学歴のほうが、より子どもの学力に影響を与えやすいとの発言がありました。
その根拠はアメリカで発表された研究データで、「母親の遺伝子は大脳皮質と呼ばれる、記臆・思考・音声・知覚など認識能力を司るとされる部分に蓄積されやすく、いわゆる知性とされる部分に関わる遺伝子は母から子に受け継がれたときのみ機能」するから。
一方で、精神科医の香山リカさんは、以下のように分析しています。
努力して最高学府までたどりついた母親たちはそのことを“成功体験”として誇りに思い、若いうちに勉強に励むことに価値を見出す傾向があります。
そのため、子供に対しても自然と、また心から『勉強は大切だ』『大学で学ぶために努力することはいいことだ』と伝えることができる。結果として子供の学力が向上するのではないでしょうか
(引用元:NEWSポストセブン|子供の学力、父親の学歴よりも母親の学歴が影響大)
やはり、遺伝子と環境の両方が子どもの学力に影響しているのですね。
良い環境を整えてあげることが、親の役目
それでは、遺伝と環境の影響がわかったところで、子どもの能力を引き出すために親は何をすればいいでしょうか。
前出の安藤先生も、「遺伝的にある素質を持っていたとしても、その素質が発現するかどうかは環境次第。子どもが成長する過程で何より大切なのは、良い環境を親御さんが作ってあげること」だと話しています。それでは、“良い環境を整えるためのコツ” をご紹介しましょう。
<1>なるべくたくさんの経験をさせる!
子どもの才能を発見しやすくするために、それに出合うまで、できるだけさまざまな経験をさせることです。学校以外でも、興味を引いた習い事をさせたり、ワークショップなどに参加させたり、なるべくたくさんの大人の目に触れさせ、多角的に子どもを見てもらうことも必要。また、週末は自然の中でのびのび遊ばせる、家族で出かけてみる、などの体験をすることも大切ですね。