いちばんのしつけとは、子どもに〇〇を見せること。親はそんなに頑張らなくていい!
「子どもの将来のために、いい親でありたい」と考える真面目な人ほど、「こうしなければいけない」「こうしては駄目」といった家庭教育に関する多くの情報にがんじがらめになっています。そこで、気鋭の教育ジャーナリスト・おおたとしまささんに、子ども教育において「やらなくてもいいこと」を、あえて逆説的に挙げてもらいました。短期連載第1回目の「やらなくてもいいこと」は、「ガミガミ叱らなくていい」「朝は起こさなくていい」「夫婦の意見はそろえなくていい」の3つです。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)
【やらなくてもいいこと1】ガミガミ叱らなくていい
真面目な人ほど、「きちんと子どもにしつけをしないといけない」と考えます。もちろん、それはそれで正しいことですが、注意してほしいのは「しつけ=叱る」ではないということ。どうも、厳しく叱らないと「しつけができない」と考えている人が多いようです。
でも、ガミガミと叱らなくてもしつけはできる。
だいたい、子どもができないことは、強い口調で伝えたからといってできるようになりません。どんなに親が「ああしなさい、こうしなさい」といってもできないのなら、「このことは、この子にはまだできないんだな」と考えるべきです。まさに成長の真っ只中にある子どもにとっては、いまはできなくても、そのうちできるようになることもたくさんあるのですから。
そして、口で伝えることだけがしつけではないと思うのです。わたしが考えるいちばんのしつけとは、子どもに親が手本を見せること。あいさつなんてそれこそ手本を示しやすいものでしょう。たとえば、子どもと散歩中に幼稚園の先生など知り合いに会ったとします。子どもがあいさつをできなかったからといって、「ちゃんとあいさつしなさい」というのではなく、親が「こんにちは」と先生にあいさつをすればいい。
そういう親を見て育てば、子どもは自然に「そういうものなんだな」と思ってあいさつができるようになるはずです。
普段から親がそういう手本を示していれば、もし子どもがやるべきことを忘れたような場合にも、その親の手本を思い出せるはずです。あいさつのケースなら、普段からあいさつができているような子どもも、たくさんの人が集まっているような場では、その状況に驚いてあいさつを忘れてしまうこともあるでしょう。そういうときも、まずは親がまわりの人にあいさつをする。