子どもの将来は偏差値ではなく○○で決まる! 「難関校に行けば安泰」の時代はもう去った
「とにかく偏差値の高い学校へ行かせなきゃ。そうすれば、この子の人生は安泰のはず」などと思い込んではいませんか? その考え方は、もうかなり古いかもしれません。
子どもたちにとって偏差値よりも大切なことを、専門家のアドバイスをもとに紹介します。
「偏差値がいちばん大事」はもう古い?
ジャーナリストの池上彰氏が著した『池上彰の「日本の教育」がよくわかる本』によると、もともと偏差値(※)は、指導者の勘に左右されず、科学的な基準で生徒に適切な進路指導を行ないたいと考えた教育者、桑田昭三氏の熱意から1957年に生まれました。
(※正式には「学力偏差値」と呼ぶ。統計学のなかにあった偏差値の概念を、桑田氏が進路指導用にアレンジした)
ところが、1980年代になると偏差値だけがひとり歩きし、子どもの将来を考えた進路指導ではなく、「この偏差値ならこの学校」というマッチング的な進路指導になっていったのだとか。いわゆる偏差値至上主義の始まりです。まるで偏差値が「その生徒の存在価値」のようにまでなり、教育委員会で問題になったこともあったそう。
その頃から現在に至るまでには「詰め込み教育からゆとり教育へ」といった方針の変化もありましたが、偏差値至上主義の根は深く、「偏差値の高い学校ほどいい」という固定的な考えに変わりはありませんでした。
しかし、先の池上氏や、ジャーナリストの増田ユリヤ氏は、偏差値にとらわれすぎることに大きな疑問を呈しています。同氏らの著書『偏差値好きな教育“後進国”ニッポン』によると、増田氏は教育大国フィンランドの先生から、次の言葉を聞いたそう。
- 「人生はリスクの連続で、それを乗り越えるための答えはひとつではない」
- 「学校の授業で子どもたちは、たとえばエネルギー問題などをテーマにして、状況に応じ知恵を出し合い、どういう道を選択すればいいのかを考える訓練をしている」
- 「その過程で真に学ぶ楽しさや喜びを知れば、子どもたちは将来、どんな問題にも立ち向かい、答えを導き出せる」
この言葉からわかるように、フィンランドでは、子どもたちが危機的状況を突破する術を考えるなかで、学ぶことの楽しさを見出す教育が行なわれているそうなのです。これは、勉強・受験・就職・仕事・対人関係の失敗や挫折など、これからの人生で待ち受けるさまざまな問題をどう解決し、楽しく生きていくか、その術を学ぶことにもつながります。