勉強時間は短いほうが効果アリ? 科学的データから導き出された超効率的な自宅学習法
思い込みや経験則を離れ、データに基づいた科学的な知見を重視する「エビデンス・ベースド」の考え方。前回連載、『10億件の学習データから判明。算数の苦手は「位」「単位」「図形」の3つに分類できる!』では、そんなエビデンス・ベースドの具体例として、RISU算数のデータから見えてきた算数のニガテにまつわる事実をご紹介しました。実際の学習データという「エビデンス」を通して、算数教育の現状が見えたのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で、分散登校やオンライン授業を行なう学校が増えた昨今、子どもの自宅学習について悩む保護者の声をよく聞くようになりました。そこで今回は、エビデンス・ベースドに基づいた「効果的な自宅学習の方法」についてお話ししたいと思います。
データで判明!効率的・効果的な自宅学習
あなたのお子さんは、自宅で集中して勉強できていますか?テレビやゲームなど、勉強以外の誘惑が多い自宅での勉強は、子どもにとって難しいもの。しかし、学校で習った内容をしっかり定着させるためには、自宅での復習は欠かせません。
自宅でどれだけ集中して効率よく勉強できるか。それが、学校の成績や、ひいては受験の結果をも左右すると言っても過言ではないのです。
効率的・効果的な自宅学習のカギを握るのが、「時間」「体調」「目標」の3つの要素。それぞれについて、データとともに詳しく見ていきましょう。
■「短時間×複数回」の学習で効率アップ!
はじめに、自宅学習の「時間」についてお話しします。私が運営しているRISU算数は、子どもの学習を常に記録しています。学習内容の理解度はもちろん、学習習慣についても細かくデータをとることで、子どもひとりひとりに合ったきめ細やかな指導を可能にしているのです。
このデータから、学習習慣に関するおもしろい傾向が明らかになりました。
同じ期間に同じだけ学習している子どもでも、学力の向上にバラツキがあったのです。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。その答えは、「勉強時間の長さと回数」の違いにありました。
1回に長時間学習する「長時間型」と、短い時間に何度も学習する「短時間型」の子どもの平均学習スピードを比べたところ、短時間型の子どもは、長時間型の子どもの1.1倍のスピードで学習を進められていることが分かりました。このデータは、「勉強は、ただ長い時間やればよいのではない」