「経済格差」が「学力差」を生んでいる。アメリカのオンライン教育の現状
対面形式では、1クラス20人近くの子を見ることができましたが、オンラインでは、1クラス7~8人が精一杯。オンライン上でひとりひとりと双方向的なコミュニケーションをとる難しさを実感させられました。
Wifi環境がない!?アメリカのオンライン教育の現状
手探りで始まった、RISU USAのオンライン講座。試行錯誤のなかで見えてきたのは、アメリカにおけるオンライン教育の難しさでした。
一番多かったのは、機材に関連するトラブルです。いくら現代の子どもがデジタル機器に親しんでいるといっても、実際にそれを使ってコミュニケーションをとるには、いろいろな問題があります。Wifi接続や機材のセッティングといった準備は子どもには難しく、通信不良もたびたび起きます。また、子どもが自分のタブレットやPCをもっていない家庭では、親の仕事用PCを使っているため学習時間が限られてしまう、という問題もありました。
RISU USAは、もともと学校に出向いて授業を行なうというスタイルをとっていたので、子どもたちは学校のWifiを利用することができました。しかし、オンラインへ移行すると、家庭にWifiがないという理由でRISU USAを辞めてしまう子も出てきました。日本でも、Wifiがない家庭への対処が問題になっていますが、アメリカでも、Wifi環境の整備は大きな課題です。
「経済格差が学力差を生んでいる」という事実
突然のロックダウン措置によるオンライン教育への移行から半年以上が経ったいま、アメリカの教育事情はどのように変化したのでしょうか。RISU USAのスタッフに話を聞いてみたところ、アメリカの教育現場が直面する厳しい現実が見えてきました。
どうやらアメリカのオンライン教育の現状は、あまり変わっていないようです。地域間の格差、あるいは同一地域内でも家庭間の格差が、そのまま子どもの学習機会の差を生んでしまっています。
裕福な家庭では、「パンデミック・ポッド」と呼ばれる、固定した生徒数人に対して、教員免許をもった先生1人の組み合わせで対面学習をさせる取り組みをしています。
学校が提供するオンライン教育を受けながら、その補填をパンデミック・ポッドで行なうのです。
一方で、低所得者層を中心に失業率が上がっており、学年始めからオンライン教育にすら参加できていない生徒も一部いるのが現実。